My Dear 1話から読む方はこちらから
賢治は私を私のマンション前まで送ってくれると、いきなり頬にキスをしてきた。
「いきなり何すんのよ。」
「いいじゃんか、キスの1つ位。口にしてないだけでも。」
「も~、知らないからね。また写真に撮られても。」
恥ずかしさを隠す様に私は車から降りた。
「じゃな。また電話する。」
そう言うと手を振りながら賢治は帰って行った。
今日も泊まるなんて言わないだけでもよかった。
次の日、会社に行くと露骨に私を見る人達がいた。なんだろう…。
「おはよう。」
私は同期の瞳に声をかけると、勢いよく給湯室に連れて行かれ
携帯の画面を突き付けられた。
「どうゆう事?この写真奈々子でしょ。」
それは昨日、賢治と映画を観に行った時の写真だった。手をつないで笑ってる
私と賢治の姿が写っていた。
「嵐山 賢治が言ってた彼女ってあんたの事だったの?」
「えっと…。」
私が言い訳を考えてると、
「この写真、ツイッターで拡散されてるよ。」
…。だからか。色んな人が私の事を見てたのは。ここは正直に話した方がいいみたい。
「半年前から付き合ってるの。賢治とは幼馴染みだったから。」
「『賢治』…。よくまぁ呑気にそんな事言ってられるわね。私はともかく嵐山君のファンの
子達なんて怒り心頭みたいよ。知らないからね、ど~なっても。」
瞳の冷たい言葉に私は胸をえぐられた様だった。
「そんな~。そんな冷たい事言わないでよ。」
「堂々と街中をアイドルと歩いてたあんたが悪い。まぁこんな噂すぐになくなるわよ。」
コーヒーを差し出すと瞳は笑った。…そうだといいんだけどなぁ。
あぁ、今日の仕事はやりにくくなりそうだ。