My Dear 57話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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賢治は私を私のマンション前まで送ってくれると、いきなり頬にキスをしてきた。

「いきなり何すんのよ。」

「いいじゃんか、キスの1つ位。口にしてないだけでも。」

「も~、知らないからね。また写真に撮られても。」

恥ずかしさを隠す様に私は車から降りた。

「じゃな。また電話する。」

そう言うと手を振りながら賢治は帰って行った。

今日も泊まるなんて言わないだけでもよかった。


次の日、会社に行くと露骨に私を見る人達がいた。なんだろう…。

「おはよう。」

私は同期の瞳に声をかけると、勢いよく給湯室に連れて行かれ

携帯の画面を突き付けられた。

「どうゆう事?この写真奈々子でしょ。」

それは昨日、賢治と映画を観に行った時の写真だった。手をつないで笑ってる

私と賢治の姿が写っていた。

「嵐山 賢治が言ってた彼女ってあんたの事だったの?」

「えっと…。」

私が言い訳を考えてると、

「この写真、ツイッターで拡散されてるよ。」

…。だからか。色んな人が私の事を見てたのは。ここは正直に話した方がいいみたい。

「半年前から付き合ってるの。賢治とは幼馴染みだったから。」

「『賢治』…。よくまぁ呑気にそんな事言ってられるわね。私はともかく嵐山君のファンの

子達なんて怒り心頭みたいよ。知らないからね、ど~なっても。」

瞳の冷たい言葉に私は胸をえぐられた様だった。

「そんな~。そんな冷たい事言わないでよ。」

「堂々と街中をアイドルと歩いてたあんたが悪い。まぁこんな噂すぐになくなるわよ。」

コーヒーを差し出すと瞳は笑った。…そうだといいんだけどなぁ。

あぁ、今日の仕事はやりにくくなりそうだ。