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賢治と待ち合わせをした『zone』は会社の目の前のビルに入っていた
「橋本さん、何飲む?」
「じゃぁ、アイスカフェモカ。井上君は?」
「俺?俺はアイスコーヒー」
店員さんが来て井上君が注文してくれた
「だけどびっくりだなぁ。こんな身近にいる人の友達が芸能人なんて」
「私もびっくりよ。スカウトされてからあっという間にトップアイドルになっちゃったんだもの」
井上君はアイスコーヒーにミルクを2つ入れてカラカラと混ぜながら笑った
「もしかして、雑誌に載ってた嵐山さんの彼女って橋本さん?」
私はそこまで言われるとは思ってなくて思わずむせてしまった
「まっさか~。同じ職種の人じゃないの?」
「でも雑誌には一般人の女性って書いてあったよ」
私は言い訳を考えてたらカフェの鈴がなって賢治が入ってきた
一応変装のつもりかキャップを深めにかぶってサングラスをしていた
あの姿だったらすぐにはバレないと思う
最初、賢治は私を探しているのか店内をキョロキョロしてたけど
見つけると駆け足で私と井上君がいる席にやってきた
「おまたせ。パーキングがなかなか見つからなくってさ」
「大丈夫よ。そんなに待ってないから。こちら私の同僚の井上 龍也さん」
席に座りながら賢治は少しだけキャップを上げると
「ども、奈々子の彼氏の嵐山 賢治です」
「賢治!まだ付き合ってる訳じゃないでしょ」
「だってこないだ『付き合ってもいい』って言ったじゃんか」
「そうだけど…。」
私と賢治のやり取りを見てた井上君はちょっと笑いながら
「やっぱり雑誌に載ってた付き合ってる女性って橋本さんだったんだね」
「付き合いが長い分色々大変なのよ」
私はアイスカフェモカを一気に飲むと
「さて、どこで食べる?」
その提案に答えたのは賢治だった
「3人と言えどもどこで芸能ジャーナリストが見てるかわからないから
個室の取れる場所探しといたんだけど、そこは?」
確かに、また写真なんて撮られるのはごめんだった
「そこってどこにあるの?」
「六本木の近く。知る人ぞ知る隠れ家的な店だよ。ここから距離があるから
俺の車で行こうぜ。店はもう予約してるし。今車取って来る」
「わかった」
賢治は飲み物も注文せずにさっさと店を出てしまった
「あっ、どの位で戻って来るか聞けばよかった」
「この近所のパーキングに止めてるみたいだからそんなに時間はかからないだろね
俺達も店出て待ってようか」
清算する時、私は自分の分を出そうとしたけど
「誘ったのは俺だから俺が出すよ」
っておごってもらった