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麻美とランチをしてるとスマホが鳴った
相手は誰だろうと思ったら賢治からだった
「ごめん、ちょっと友達から」
私はランチをしていた席を離れてトイレで賢治からの電話を受け取った
「何?私、今日忙しいんだけど」
「ライブのリハが今日は早めに終わりそうなんだ。夜、メシでも食わねぇ?」
「悪いけど予約が入ってるの。会社の人と食事する」
「それって男?女?」
賢治の声に嫉妬の響きがあった
「男の人だけどただの同僚よ」
「それ、俺も行く」
はっ?!
「食事に誘うなんて奈々子に気があるとしか思えない」
「私達と食事なんてしたら今度こそ写真付きで雑誌に載っちゃうじゃない?」
「奈々子を誘った男もいるんだろ。3人で食事してたら大丈夫だよ」
「ダメったらダメ」
電話の先では賢治のため息が聞こえた
「奈々子ってさ、なんでもダメなんだな。これじゃ付き合ってるっていえないじゃないか」
「…。」
「ほら、何にも言えねぇじゃないか」
確かに私は賢治の望んでいる事はことごく断ってきた
だからじゃないけど
「わかったわよ。その代り、一緒に食事する人が了解してくれたらね」
「オッケー」
私は麻美が待ってる席に戻ると思わずため息をしてしまった
「どうしたの?喧嘩でもした?」
カルボナーラを食べながら麻美は心配そうに聞いてくれた
「相手が無理難題な事を言ってきたのよ。どうしよう」
「無理難題な事って?」
これ以上話すと賢治と付き合ってる事まで話さないといけない
頭をフル回転して言い訳を言った
「井上君と食事する約束したでしょ?それに同席したいっていってきて…。友達が」
「それはその人に諦めてもらったら?井上君だって何にも考えないで
奈々子の事を誘った訳じゃなさそうだし」
何にも考えないでってどういう意味だろう
「何も考えないってたまに人と食事をしたいだけでしょ。そんなに意味深じゃないと思うんだけど」
「奈々子も鈍いわね。気があるから誘ったんでしょ」
井上君が私に気がある?まっさか~