My Dear  22話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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男性陣のお酒が進んだ頃、なんだか視線を感じてしまった

ゆっくりと視線を向けると女の子達がテーブルに少しのつまみと

グラスを並べながら私達の方を見ていた

「賢治君ってお酒強いのね」

「バックメンバーのShinnさんも素敵よ」

「あら。私はTakuyaさん派」

…。なるほど。賢治達がここで飲む事が多い事知ってるんだ

でもプライベートだから声をかけないんだ

バックメンバーにもファンがいるんだなぁ

そんな事を思いながらファンの子達を見てたらTakuyaさんに声をかけられた

「どうしたの?」

「あっ、ファンの子達もここがよく分かったなぁって思って」

Takuyaさんはファンの子達に目をやると少し笑った

「ファンの子達も色々と情報網があるみたいだからね

でも、こうやって飲んでても声はかけてこないから気にしなくてもいいよ」

「はぁ…。でもこうやって視線を感じながら飲むのって気になりませんか?」

「慣れちゃったよ。それよりあんまり飲んでないね

お酒、弱いの?」

私はここに来て1時間位経ってるけど梅酒を2杯しか飲んでない

「明日、会社ですから二日酔いにならない様にって思って」

「そっか。奈々子ちゃんも社会人だもんね」

そう言って私の頭を撫でてから私から離れて行った

私はTakuyaさんに「奈々子ちゃん」って呼ばれたのと頭を撫でられた事でちょっとドキッとしてしまった

そんな私とTakuyaさんの様子を見ていたのは賢治だったけど

賢治のそんな視線に気がつかなかった

賢治は立ち上がると

「俺、もう帰るよ。奈々子の事も送っていきたいし」

「なんだよ、まだ飲み始めて1時間しか経ってないじゃないか」

「お前、酒強いだろ。もうちょっと飲んでけよ」

そんな皆の声を無視する様に私の腕を掴むと

「今日は辞めとく」

って座敷から靴を履こうとした

でも私は二人っきりになると付き合いし始めたのがバレちゃうと思って断ろうとした

「いいよ。私、そんなに飲んでないし。

それに二人っきりだと付き合ってるのがファンの子達にもバレちゃうでしょ」

「いいんだよ。バレても」

少し不機嫌そうに店の外に私を無理矢理出て行こうとした

…。なんだか賢治ってば機嫌悪いな。どうしたんだろう