My Dear  20話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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1時間程、賢治とワンツーマンで曲合わせをしてみたけど

素人の私だから当たり前だけどちょくちょくチェックが入った

「橋本さん、2小節目。もっと声を大きくしてみようか」

「ラストちょっと、伸ばしてみようか」

結局終わったのは2時間後だった

終わったあと賢治から握手を求められた

「サンキュ、ライブでもいい感じになりそう」

「コンサートでも使うの?」

「奈々子の歌だけ別取りにしてライブで流すんだ。奈々子は会社があるから

コンサートに参加出来ないだろ?」

「約束が違うじゃない。今日だけちょっと手伝うって約束なんだから

コンサート会場で私の声が流れるなんて考えられない」

私は抗議したけど賢治は意にも解さないみたいだった

「思ったよりいい出来だったんだ。大丈夫だよ

奈々子の事は表に出さないから」

なんて安易な考えだろう 呆れてものが言えなくなってしまった

「ちょっと手伝うって言った私がバカだったわね。

まさかホントにコンサートで使うなんて思いもしなかったもの」

賢治と少し言い争ってるとTakkuyaさんが間に入ってくれた

「でも本当にいい出来だったよ。さすが幼馴染みってだけあるね

息がぴったりだった。ちょっと妬けちゃうぐらいだったな」

「そうですか?」

「うん」

Takuyaさんに褒められるとなんだかちょっと嬉しいな

私とTakuyaさんが雑談をしてると、賢治が寄ってきて

「レコーディングも終わったし、メシでも食いに行こうぜ」

なんだかふてくされてるみたいに言ってきた

それは別に構わないんだけど、賢治は国民的アイドルだからな

一緒にいると彼女って思われちゃうかもしれない

「私はいいよ。二人っきりだと彼女と思わるかもしれないから」

「奈々子と二人っきりとは言ってないだろ。バックメンバーも一緒だよ

それなら俺達が付き合ってるのもバレやしないよ」

…。そんなもんかなぁ