My Dear  19話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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何を話してるんだろうって思いながら賢治達を見ていたら

賢治がレコーディングスタジオから出てきた

「奈々子、カラオケって好き?」

「嫌いじゃないけど、得意じゃない」

「1曲だけ女性のバックボーカルが必要な曲があるんだ。奈々子、やってみないか?」

私がプロに混ざってコンサートでのバックコーラス¡?

「冗談でしょ?他にプロの人に頼めばいいじゃない」

「今探してるんだけど、まだ見つかってないんだ。

奈々子、大学の時にゴスペル部にいただろ。悪くないと思うんだけど」

確かに大学の時は歌を歌うのが好きでゴスペル部にいたことはあるけど

もう大学を卒業して何年も経つし、プロみたいに歌えない

「私、もう帰る。いても邪魔になるだけだし」

「1曲だけだから歌ってみてよ」

私と賢治の様子を見ていたTakuyaさんが私に歩み寄って

「まぁそんなに深く考えないで普段は出来ない事だと思ってやってみたら?」

だって。そんな事言われてもなぁ

賢治が持ってきた曲が書いてある譜面を見るとそんなに難しい曲じゃない

でも賢治と歌うとなるとつられてハーモニーが出来ないかもしれない

私が悩んでいるとTakuyaさんに肩を叩かれて

「やるだけやってみたら?」

って微笑まれた。なんだかTakuyaさんって話やすいな

しばらく譜面を見ていたけど

「レコーディングはしないでね。プロの人が見つかるまでの代役なんだから」

「大丈夫だよ。CDの方のレコーディングは終わってるから」

レコーディングはしないならいいかな?

「じゃ、ちょっとだけよ。手伝うだけなんだから」

賢治は指を鳴らして

「やったね。じゃ、少し歌合わせしようか」

楽器がたくさん並んでいるレコーディングスタジオに連れられて

マイクの前に立った

マイクは丸いタイプでなんで丸いのかが不思議だった

イヤフォンを渡されながら

「なんでマイクが丸いの?」

素朴に思った事を聞いてみた

「雑音が入らない様に声だけを収録する為だよ」

賢治に説明されながら(そんなもんなんだ)って思った