「小料理屋 桜」を最初から読まれる方はこちらから
若いカメラマンは店の雰囲気を撮ったり、桜子か客と接客しているのを何枚か撮ると、
「写真はこの位でいいと思います。」
「そう、じゃぁまた今度は仕事じゃなくてプライベートで来るわね。」
北村は帰って行った2人を見て、
「なんでおかみの店を選んだんだろうな。」
疑問に思った事を呟いた。
「前から飲みに来て下さったからじゃないですか?」
「でもこれで客が増えるかもしれないね。」
「嬉しい限りです。そう言えば年末に内山さんの個展があるそうですよ。」
そう言って内山から渡された招待状を北村に見せた。
「ふ~ん。今年も行こうかなギャラリーは前と同じ?」
「いえ、ちょっと大きいギャラリーに引っ越しました。今度場所がわかる案内状を持ってきますね。」
「堺君も忙しくなってきたね。」
「お蔭さまで。」
桜子は雄二の夕食のリクエストであった焼きナスを北村に渡した。
「でもおかみは夜の仕事だろ?で堺君はどっちかというと昼間の仕事だろ?
すれ違いにならない?」
「朝食は一緒に食べてますし、彼も夜遅くまで仕事をしてるからそんなにすれ違いになってないです。」
その後桜子はクスクス笑って、
「みなさん私達がすれ違いの生活になっちゃうって心配して下さるんですね。
ありがたい事です。」
その時桜子の携帯が鳴った。相手は梓だった
「桜ちゃん?ごめんなさいね。」
「大丈夫ですよ。今お客さまはお一人ですから。」
「店が終わったらこっちに来てくれない?相談があるの。」
「わかりました。」
「要件はそれだけ、ごめんなさんね。営業時間に。」
「いえ、構いません。」
携帯を切るろ北村が、
「誰?」
と尋ねてきた。
「クラブ梓の梓さんです」
「ふ~ん。」
その返事は何かしら梓と関係があるような表情だった。
だが桜子はそれ以追及せず雄二のリクエストだった焼きナスをだした。