「小料理屋 桜」を最初から読まれる方はこちらから
開店すると久しぶりに紗香が入ってきた。
「あら、田淵さん。お久しぶりです。」
紗香は真ん中のカウンターに座ると書類を出して、
「今度の企画で『働く女性たち』って言うのをやるの。
おかみも働いてるんだからインタビューに参加してくれない?」
「私ですか?」
「夜の仕事をしてる人を探してたのよ。そこでおかみの事を思い出した訳。…。迷惑かしら。」
「迷惑なんてとんでもないです。田淵さんのお役に立てるのなら参加させて下さい。」
紗香はホッとした表情になり、
「特にインタビューをする訳じゃないの。おかみが働いてるのを私なりに見てそれを記事にするとつもり。
だから何も特別な事をしなくてもいいわ。
その日の晩から紗香は店に入りびたりにないり時には客と酒を飲むこともあった
綾香が店に入りびたりになって10日後若い男性も一緒に来た。
「今日は店の雰囲気とか写真に撮りたくて。大丈夫?」
「お客様の顔を載せなければ構いませんよ。」
客には客の事情がある。それを撮るとなるといちいち写真を撮ってもいいか確認しなくてはならない。
今日一番に来た客は北村だった。
「どうしたんだい。カメラマンの人までいて。」
「お店の雰囲気を撮りたいそうですよ。でも顔は出さないそうですから。」
「なんだか落ち着かないな。カメラマンと田淵さんがいるとこで飲むのって。」
「みなさんの邪魔にならない様にして下さるそうですから。」
そう言われても、北村は落ち着かいよだった。