The Movie 8話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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そして3日後。本当に試写会の案内状が来た。


この映画はシリアスな役もコメディーの役も出来る役者さんが出演してた。


(ふ~ん。面白そう)


でも試写会の日って仕事なんだよねぇ。どうしよう。


徳永君のメアドは知ってるから、断りのメールを出しておこう。


『せっかく招待状をもらったけど、その日は仕事で行けそうもないです


好意で送ってくれたのは嬉しいけど残念です。』


本当だったら関係者しか観れない試写会だから行きたかったんだけど


仕事だからしょうがないよね。


それと…。徳永君。うちに来たいとかパンフをキープしてくれるとかコーヒーをおごってくれてたりするのは


少なくとも、私に対して何にも思ってなかったらしない事だし。


ちょっと距離を置いた方がいいかもしれない。


でも、それって私に出来るかなぁ。


手帳にその招待状を挟むとバックにしまった。


あの映画はチケットを買って観よう。


毎週映画に行くのは決まっていたけど、予想もしなかった事でいけなくなった。


単に風邪を引いただけなんだけど。


口に咥えた体温計がピッピッピって時間を知らせると体温を見た。


…。最悪。39.3℃もある。これは会社を休まないと。


先に派遣会社の私の担当をしている川田さんに連絡をした。


「川田さ~ん。風邪ひいちゃった。」


「熱測ったの?」


「39.3℃。」


電話の先で川田さんがため息をついてるのは想像できる。


「すみません。」


「派遣先には私の方から連絡しとくから、あなたも会社に連絡しなさい。」


私は会社に電話をすると笹原さんが出た。


「どうしたんですか?」


「笹原さんこそ。随分早く来てるのね。」


「今度のプレゼンで気になる書類があったんでそれを訂正しに早く来ました。」


「じゃぁ申し訳ないんだけど、係長に熱があるから今日は休むって伝えておいて。」


「風邪!?熱は?」


「39℃ちょっと。ほぼ40℃に近いかも。」


熱があるから早く横になりたくて私は会話を切ろうとした。


「お願いね。」


「待って下さい。」


電話を切ろうとしたら笹原さんからまだ言いたい事があるかの様に止められた。


(早く病院に行って寝たいのに…)


「会社が終わったらお見舞いに伺いますから。」


「いいよ。ただの風邪だから。それに笹原さん、私のうち知らないでしょ。


じゃ、病院行くから。」


今度は笹原さんの返事を聞かないで電話を切ってしまった。


私は普段着に着替えて近所の病院に行った。


「風邪ですね。抗生物質と熱を下げる薬を出しときますから、それでも改善しなかったら


明日も来て下さい。」


最近、急に寒くなってきたからなぁ。自己管理が出来てないのは私が悪いんだけど。


うちに帰って「寒い、寒い」と言いながらおかゆを作って


それを食べてから薬を飲んで私は横になった。


あ~、でも今日休んだから係長がなんか言ってくるんだろうな。


ただでさえ毎週水曜日は休む契約になってるんだから。


首になるのは覚悟しといた方がいいかもしれない。


派遣ってそういう危機感も持って仕事をしてるんだよね。


とにかく今、ごちゃごちゃ考えてもしょうがない。


寝ようっと。