妙子さんは8時過ぎになると、
「じゃぁ、私帰るから。」
「ありがとう。でもオーナー達のご飯大丈夫だった?」
「大丈夫よ。下手したら彼の方が料理上手いかもしれないんだから。」
へぇ…。意外な一面。
「守、分かってるとは思うけど、琴音に変な事しちゃダメよ。」
「分かってます。そう念を入れなくても。琴音に手なんて出したら妙子さんからどんな目に合うか位の
想像はつきますから。」
「分かってるならいいわ。じゃぁ裕子さん、明日も来るから。」
「大丈夫なのに。」
「大丈夫かどうかは私が判断するわ。それじゃ。」
妙子さんは3台は置ける駐車場から車を出して帰って行った。
リビングに戻って私はお母さんに
「せっかく守が泊まってくれるから、数学教えてもらってもいい?」
「いいわよ。でも琴音の部屋じゃなくてリビングでね。」
…。何もしないのに、多分。
私が数学を守に教えてもらってたらお父さんのパジャマを持ってきて、
「守君、これお父さんのだけど。寝る時着てちょうだい。」
「はい。」
「客間は琴音の部屋の隣だから。」
「わかりました。」
「お母さん、今日はもう先に寝るね。」
「うん、おやすみなさい。」
お母さんが私の部屋に行ったのを確認すると、守を上目づかいで見て守と目が合った。
自然に私達はキスをして、少し笑った。
「妙子さんがこの部屋に隠しカメラとかおいてたら、俺半殺しだろな。」
「多分ね。」
そう言いながらも私達は笑った。
笑った後に気が付いた。お父さんが出て行ってから初めて笑う事が出来る様になった。
やっぱり、守は私にとって王子様だな。
結局私達二人は朝まで勉強して気が付いたらリビングに頭を乗せて寝ていた。
多分お母さんだと思うけど私達には毛布がかけられていた。
先に目が覚めたのは私だった。守はまだ寝てる。
思わず守の寝顔をじ~っとみてしまった。
よく見ると守ってまつ毛長いなぁ。鼻も高いし。
学校でみんなが守の事を気にするのも当たり前かもしれない。
そう言えば、ライバル宣言した荒木さん。これからどうするんだろう。
私と守は昨日の事でさらに絆が深まったと思うんだけど。
だって高校生なのに結婚の話まで出たんだもん。
ちゃんと大学も守と同じ大学に行って仕事は違うかもしれないけど本当に結婚出来たらいいな。
こんなに優しい守だったらお父さんみたいに浮気なんてしないだろうし。
まだ、全然先の事だからわからないけど。