お母さんに呼ばれて、夕食を食べていると何だかお母さん元気ないみたい。
「ごちそうまさ。」
「あのね、琴音。ちょっと話があるんだけど。」
「何?」
食器を洗いながら返事をすると、
「大事な話のな。」
私は食器を全部洗い終わると、ダイニングソファーに座った。
「大事な話って何?」
「色々考えたんだけど、琴音転校しない?」
それは前々から私も考えてた事だった。
「ほら、前に先生に言われたみたいにストレスでてんかんの発作が出てるでしょ?
琴音の身体に悪いと思って。」
「…。」
「転校するの嫌?」
「私が日本史が好きなの知ってるよね。今の学校で担任の山田先生がとても日本史に詳しいの。
転校したら山田先生から日本史が教えてもらえなくなるでしょ?だから迷ってる。
真吾は先生が熱心に私に教えてくれてるから他校の生徒でも課外授業してくれるかもって言ってるけど。」
「じゃぁ課外授業をしてもらえるか山田先生に聞いてみたら?」
「明日、相談してみる。」
「お母さんの話はこれだけ。転校の事、考えてみてね。」
「うん。」
私は部屋に戻って転校するかどうか考えた。
山田先生の授業は楽しい。でも井上君の事もあるし…。
井上君はもしかしたら私が転校しても転校先に来るだろうなぁ。
次の日、放課後に山田先生に転校するか相談にしに行った。
「先生、こないだ病院に行ってきたんですけど、
病院の先生に転校した方がいいかもしれないって言われたんです。」
「転校?」
「先生の説明では元男子高だから女子ってかわかれやすかったり、誰とは言えませんが
交際を求められたりしてるのがストレスになって病気の発作が起こりやすくなってるから
普通の共学に行った方がいいって。でも私は山田先生の授業は好きだし、どうしようか迷ってるんです。」
先生は少し考えて、
「僕はね、大原みたいに日本史に興味を持ってくれてる生徒がいる事が嬉しいんだ。
でも、病院の先生が言うなら転校するのはしょうがないと思ってる。それに交際を申し込んでるは
井上君だろ?毎日、あんな風に交際を申し込んでたら他の生徒がからかうのは当然かもしれない。
転校したらいい方向になるのか、転校しなくても大原にとっていい環境を整えてあげられるのか
僕も考えてみるから大原も十分に考えて結論を出しなさい。」
「はい。先生、もし私が転校したら他校の生徒でも日本史は教えて頂けますか?」
「僕は構わないけど、これは校長先生に相談してみないとわからないね。」
「…。そうですか。」
私が帰ろうとしたら、また井上君が校門で待ってた。…。これがストレスになってるのかなぁ。
最近は井上君と話すのも楽しくなってきたし真吾達も井上君の事気に入ったみたいだから
どうしよう。まぁ転校しても井上君が正也ん家に来れば会う事は出来るけど。