最初は私を病人扱いしてた三人だったけど、そのうちいつも通りになった。
結局はそうなんだよね。何がそうって言われても困るけど…。気を使わないで済むって事…。かな?
皆でその『いつも通り』に話してたらお母さんが帰ってきた。
「あら、正也君達来てたの。」
「琴音から熱があるってメールが来たから。一応見舞いに。」
「『一応』って何よ。『一応』って。」
「だって様子見たら、全然平気そうじゃん。」
「だから言ったでしょ?ちょっと熱が出ただけだって。」
私と真吾が言い合ってると、また守が中間に入って、
「まぁまぁ。琴音が具合悪いのは本当なんだから。喧嘩すんなって。」
「喧嘩じゃない!」
思わず真吾と同じ言葉を同時に言っちゃった。
「いつもだったら見逃すとこだけど、今日はお父さんが早いから煙草はダメよ。」
「了解です。」
お母さんは黙認してるけど、お父さんは正也達が煙草吸ったりするのに反対してる。
まぁ、それが普通の親だと思うけど。
でも私は知ってるんだよね。お父さんが知らない女の人と時々会ってるの。
中学の時、偶然見ちゃったんだ。…。あれって『不倫』って言うのかな。
私の考え過ぎかもしれない。ただの会社の人かもしれないし。
だけど…。距離が近かった様な気がする。
私達は私の部屋に移動して、私はベットに腰掛けて三人はそれぞれ好きなとこに座った。
「だけど珍しいな。琴音が学校休む程なんて。」
…。『てんかん』の事、言った方がいいかな?でも言ったところで治る訳じゃないし。
やめとこ。
「珍しいのはそっちじゃない。メールしただけでお見舞いに来てくれるなんて。」
「やっぱりさ、俺達って皆がそろってないと落ち着かないんだよ。たとえお前でもね。」
真吾って褒めてんのか、けなしてるのか分からない事言うんだよね。
「お前さ、やっぱり男に囲まれての学校、向いてないじゃねぇの?」
正也が私の机の椅子に座って足をブラブラさせながら言った。
手にはいつもの中国史の本がある。
人ん家に来てまでそっちの事に興味があるのかな。
「正也さ、人ん家に来てまでその本読むの?」
「…。なんか持ってないと落ち着かないんだよ。」
「じゃぁ、私の本棚に近藤 勇の本があるからそれ読んだら?」
「俺は新撰組に興味はねぇもん。」
「面白いのに…。」
守が私と正也を見比べて、
「二人共、あれだな。歴史に興味はあるんだろうけど、的が違うんだな。
ホントに兄妹みだいだけど、いつまでもそのままじゃいられないぞ。」
…。いいじゃん。今まで通りで。
でも、私達もいつまでも子供って言われるカテゴリーではいられない。
いつかは『大人』って私はなりたくもないものになるんだ。
今が一番楽しいのに。