幼馴染み 22話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

「幼馴染み」を最初から読まれる方はこちらから


最初は私を病人扱いしてた三人だったけど、そのうちいつも通りになった。


結局はそうなんだよね。何がそうって言われても困るけど…。気を使わないで済むって事…。かな?


皆でその『いつも通り』に話してたらお母さんが帰ってきた。


「あら、正也君達来てたの。」


「琴音から熱があるってメールが来たから。一応見舞いに。」


「『一応』って何よ。『一応』って。」


「だって様子見たら、全然平気そうじゃん。」


「だから言ったでしょ?ちょっと熱が出ただけだって。」


私と真吾が言い合ってると、また守が中間に入って、


「まぁまぁ。琴音が具合悪いのは本当なんだから。喧嘩すんなって。」


「喧嘩じゃない!」


思わず真吾と同じ言葉を同時に言っちゃった。


「いつもだったら見逃すとこだけど、今日はお父さんが早いから煙草はダメよ。」


「了解です。」


お母さんは黙認してるけど、お父さんは正也達が煙草吸ったりするのに反対してる。


まぁ、それが普通の親だと思うけど。


でも私は知ってるんだよね。お父さんが知らない女の人と時々会ってるの。


中学の時、偶然見ちゃったんだ。…。あれって『不倫』って言うのかな。


私の考え過ぎかもしれない。ただの会社の人かもしれないし。


だけど…。距離が近かった様な気がする。


私達は私の部屋に移動して、私はベットに腰掛けて三人はそれぞれ好きなとこに座った。


「だけど珍しいな。琴音が学校休む程なんて。」


…。『てんかん』の事、言った方がいいかな?でも言ったところで治る訳じゃないし。


やめとこ。


「珍しいのはそっちじゃない。メールしただけでお見舞いに来てくれるなんて。」


「やっぱりさ、俺達って皆がそろってないと落ち着かないんだよ。たとえお前でもね。」


真吾って褒めてんのか、けなしてるのか分からない事言うんだよね。


「お前さ、やっぱり男に囲まれての学校、向いてないじゃねぇの?」


正也が私の机の椅子に座って足をブラブラさせながら言った。


手にはいつもの中国史の本がある。


人ん家に来てまでそっちの事に興味があるのかな。


「正也さ、人ん家に来てまでその本読むの?」


「…。なんか持ってないと落ち着かないんだよ。」


「じゃぁ、私の本棚に近藤 勇の本があるからそれ読んだら?」


「俺は新撰組に興味はねぇもん。」


「面白いのに…。」


守が私と正也を見比べて、


「二人共、あれだな。歴史に興味はあるんだろうけど、的が違うんだな。


ホントに兄妹みだいだけど、いつまでもそのままじゃいられないぞ。」


…。いいじゃん。今まで通りで。


でも、私達もいつまでも子供って言われるカテゴリーではいられない。


いつかは『大人』って私はなりたくもないものになるんだ。


今が一番楽しいのに。