私の彼、紹介します 32話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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店が開店して、彰君が担当する個室のお客様が来るまであと1時間。


どうしても彰君に伝えないといけない事があった。


一人、食物アレルギーの方がいらっしゃるからその事を報告しなくてはいけなかった。


厨房にはすでに連絡してあったけど、肝心の彰君にはまだ報告してない。


…。どうしよう。


ちょうど、お客様がお会計を済ませて、ちょっとだけ時間が出来た。


(今のうちに)


私は彰君を探した。彰君は他のお客様の対応をしていた。


遠くから彰君を見て、なんとか私に気づいてもらえた。


「よかった。ギリギリセーフ。


あと1時間で個室の青山様がいらっしゃるでしょ?


その中にお一人だけアレルギーの方がいらっしゃるの。」


「厨房には?」


「もう言ってある。」


「分かった。誰?」


「えっとねぇ…。ご年配の奥様が一人いらっしゃるの。その方。」


「マジでギリギリだな。助かったよ。」


そう言うと彰君は厨房に行った。


きっとメニューの変更を確認に行ったんだろうな。


そんな私達を冷めた視線で見ていた人がいた。


高杉さんだった。


なんであの人あんな目でしか人の事見れないんだろう。


いい加減、自覚して欲しい。自分のせいで辞めていく人がいるって事。


個室での彰君の対応はギリギリに報告したのにも関わらず完璧だった。


会計をする時、青山様から


「柳沢さんはいつも丁寧にしてくれますね。おかげで楽しい時間を過ごせました。」


と、感謝の言葉を頂いた。


「ありがとうございます。柳沢にも青山様のお言葉を伝えておきます。


またのお越しをお待ちしております。」


私も段々、受付の仕事がいたについてきたかな?