Tomorrow is another day 番外編 35話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

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麻子が分からない事をまたリストアップしていると秋口に呼ばれた。


「何でしょうか?」


「あっちゃんはプログラム組むのって苦手だろ?」


「そうですね。1年経っても江崎さん達の様には出来ません。」


「まぁ、江崎達レベルになるのはまだまだ無理だと思うけど、


あっちゃんってイラストを描くのが得意だろ?」


「そうですね。前にやった仕事でもホームページに使う素材を作るのは楽しかったですし。」


「だから、江崎にリストを渡したらソフト用の素材を作って欲しいんだ。」


「分かりました。どんなのを描けばいいですか?」


「そこは江崎と相談しながらやって。」


「はい。それと…。」


「どうした?」


「今回の仕事から中島さんが私の教育係りから外れるのって本当ですか?」


「もう入社して1年以上だからね。あっちゃんも中島から卒業しないと。


でも、大丈夫だよ。分からない事があったら中島に相談してもいいし、


リーダーの江崎に相談しても構わないよ。」


「…。はい。」


初心者用のソフトは麻子のリストがたいぶん、役にたった。


江崎達が当たり前と思っていた事が初心者には分からない事が随分とあったからだ。


ソフトの納期は1ヶ月後。


それからは男性陣は会社に寝泊まり、麻子は終電で帰りシャワーなどをして仮眠をと取ると


始発で出勤してきた。


納期の1週間前、納期先にソフトを見てもらい訂正部分があるかを確認してもらう為に


納期先に出かける事になった。


「おい、納期先に行くからお前も来い。」


「だって、プログラムを組んでいるのは江崎さん達ですよ。私が行っても役に立たないとおもいますけど。」


「ソフトの画像のチェックもしてもらうんだよ。」


「わかりました。」


そう言うとスケッチブックを持って江崎と中島について行った。



「う~ん。もうちょっ初心者でも使える様に簡単に出来ませんか?」


「分かりました。訂正して明日、また伺います。画像はどうですか?」


「画像の方は問題ないですよ。かわいらしくていいと思います。」


内心で麻子は安堵した。これから訂正となるとまた徹夜の日々があるからだ。


会社に戻ると、社長が皆を集めてボーナスの明細を渡した。


その金額は販売員をしていた3倍近くだった。


それを覗き込むと江崎は、


「何で大した仕事してねぇのに、こんなにボーナスが出るんだよ。」


「私なりに頑張ってるんです。」


「納得できねぇ。」


「文句は社長に言って下さい。」


麻子はふくれると自分のデスクに戻ってしまった。


江崎と麻子のやり取りを見ながら中島は


(本当に江崎は麻子に熱心なのかねぇ。単にいじってるだけだと思うけど)


と、内心思ってしまった。