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翌週、新しいプロジェクトの会議が開かれた。
会議の進行をするのは秋口らしい。
「えぇっと、次のソフトは初心者向けにパソコンの仕組みを説明するソフトになる。」
「初心者向けとなると、簡単に操作出来る様にしないといけないですね。」
「そうだな。そこで提案なんだがここはあっちゃんの意見を取り入れたいと思う。」
会議ノートにメモをしていた麻子が顔を上げた。
「私ですか?」
「あっちゃんは素人同然で入社しただろ?その時疑問に思った事を説明に取り入れたいんだ。」
「なるほど。こいつなら、俺達が分かってて当然の事が分かってないですからね。」
江崎が辛口のコメントを述べた。
「プロジェクトリーダーは江崎。サブは中島。皆は江崎の指示にしたがって動いてくれ。」
「分かりました。」
「じゃぁ、今回の会議はこれまで。誰か質問は?」
「小林には何をしてもらうんですか?」
「今まで疑問に思った事を江崎に報告する事。」
「はい。」
「これで会議は以上。ではそれぞれ仕事を進めてくれ。」
ぞろぞろと会議室から出て行き、各々の仕事に入った。
「小林。」
江崎が麻子に声をかける。
「明日までに秋口さんが言った事をリストアップして提出する事。」
「わかりました。なんでもいいんですよね。」
「お前の事だから山の様にあるだろうよ。
それと、今回の仕事から中島はお前の教育係りから外れるから。」
「えっ?」
麻子の表情が不安に変わる。
「いつまでもあいつに甘えてるんじゃねぇ。」
中島は前々から秋口に聞いていたので驚きはしなかったが、麻子の不安そうな顔を見てフォローした。
「まぁまぁ、そんなに不安そうな顔すんな。分からない事があったら教えてやるから。」
「お前もいつまでもこいつを甘かすんな。」
「江崎もそんなにキツイ事言うなよ。」
「そんな事言ってたら、いつになってもこいつは成長しない。」
「そりゃそうだけどさ。」
麻子は落ち込んだ様に、
「分かりました。」
とだけ答えた。
翌日、麻子が江崎に提出したリストは江崎を呆れさせるのに十分だった。
・パソコンの立ち上げ方が分からない
・プリントアウトする仕組みが分からない
・キーボードと本体がどうゆう風に繋がっているか分からない
等々。全部で20科目以上あった。
「お前、これだけ分からない事があってよく仕事が出来たな。」
「毎日が勉強です。」
「これを説明するのか…。難題だな。」
「どれ?」
中島が麻子が出したリストを見る。思わず笑ってしまった。
「すげ~量だな。」
「呆れて物が言えない。」
「だけど、これをソフトに入れなきゃいけないんだろ?やるしかないぞ。」
「そうだけどさ。」
どうやら今回のソフトは難しい仕事になりそうだった。