Tomorrow is another day 第2章 始めからの方はこちらから
自宅に帰るとすぐに警察に電話を入れた。
「先程、お世話になりました山下です。生活安全課の森田さんいらっしゃいますか?」
「ご用件は?」
「さっき、森田さんにお伝えしてなかった事があったので。」
「少々お待ちください。」
保留音が流れる中、優人は麻子に
「どういう風に説明したらいいかなぁ。」
「さっき話した通りでいいと思う。」
1分足らずで森田が電話に出た。
「先程はどうも。どうなさいましたか?」
「お伝えする事があったのを忘れてまして。」
「何でしょう。」
「例の奥様にはお子さんがいらっしゃいます。幼稚園位の男の子です。
こんなに頻繁に僕達の前に現れて、その子はちゃんと育てているのかなぁと思いまして。
余計な事かもしれませんが。」
「いえ、貴重な情報をありがとうございます。今、中島さんの前の奧さんの住居を探してますので
児童福祉事務所に連絡してみます。」
「よろしくお願いします。」
電話を切ると麻子に向かって、
「警察の方でも調べてくれるって。もしあの人の居場所がわかったら児童福祉事務所に連絡も
してくれるらしいよ。」
「よかった。前から気になってたの。」
千夏の住んでいるアパートはすぐに判った。転居届を出していたらすぐに判る事だ。
警察が千夏のアパートのチャイムを鳴らしても誰も出ない。
「留守かな?」
「とにかく中島 千夏さんの実家に行ってみよう。そっちにいるかもしれない。」
千夏は離婚しても苗字は変えてなかったのだ。
警察官二人が千夏の実家に行くと警察官が想像もしていなかった事を聞かされた。
「あの子、自分の子供を置いてそのまま1週間も帰って来ない事もあるんです。
アパートには勝がいるはずなんですけど…。もしかしたら一緒にいるのかもしれませんけど。」
中島の子供の名前は『まさる』と言うらしい。
「先程、娘さんの御自宅に伺いましたが、誰もいらっしゃらない様でしたよ。」
「おかしいですねぇ。電気のメーターや水道メーターは動いているのに。」
警察官の勘なのかもしれない。急いで元の千夏のアパートへ行った。
何度もチャイムを鳴らしても誰も出ない。
1階だったので裏に回って中の様子を見てみた。
目に飛び込んで来たのは、足の踏み場もない程に散らかってる部屋と
その中で小さく足をたたんで体育座りしている男の子だった。