Tomorrow is another day 第2章 始めからの方はこちらから
中島は1週間、目を覚まさなかった。
優人と麻子は時間が許す限り、中島の元へ行った。
ベットに横たわる、中島の腕には何本もの点滴がされていて、その姿は痛々しいものだった。
偶然一緒に優人と麻子が見舞いに来た時、
「先生は命に別状はないっておっしゃってたけど、本当に大丈夫なのかしら。」
「先生がそうおっしゃってるから、僕達はそれを信じるしかないよ。」
その時、ピクリと中島の指が動いた。
「中島さん!判る?麻子よ。」
何度か瞬きをして中島は麻子の顔を見た。
それを見ていた優人はナースコールのスイッチを押した。
「とにかく、意識は戻ったんだ。あとは先生に診てもらおう。」
すぐに看護師が中島の元へやってきた。
「中島さ~ん。わかりますか?」
「ここはどこだ。」
「ここがどこかわかりますか?」
しばらく周りを見ていたけれど、返答は優人達が思いもしなかった言葉だった。
「あぁ、俺の実家だ・・・。」
その言葉を聞いて看護師はまた質問をした。
「あなたのお名前はわかりますか?」
「香取 慎吾。」
思わず優人と麻子は顔を合わせてしまった。
まさか自分が誰なのかもわからないなんて思ってもいなかったから。
「中島さん、ちょっと眩しいですけど、目を見させて下さいね。」
看護師はペンライトの様な物で中島の目を照らした。
「意識は戻りましたが、まだダメですね。ここがどこかもお判りになってませんし、
ご自分が誰かも判ってません。今、先生を呼んで来ますから。」
そう言うと病室を出ていった。
「どういう事?場所も自分が誰かも判らないなんて。」
「あれだけの量の薬を飲んだんだ。意識が混濁してるのかもしれない。」
優人と話していると、救急車で運ばれた時に診察した五十嵐医師が来た。