Tomorrow is another day 92話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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その頃、自宅にいた麻子は先に食事を済ませ、洗い物をしていた。


手が滑ったのか、優人とおそろいのマグカップを落としてしまい、マグカップは音を立てて


割れてしまった。


「大変。せっかく優人さんとおそろいで買ったのに。」


指を傷つけない様に少しづつ欠片を拾っていたが、小さい欠片で指を切ってしまった。


「つっ。いた~い。」


指からは血が流れていく。その血を見ていると麻子は嫌な予感がした。


時計を見ると11時を回っていた。明日、麻子の両親に会いに行くのだから早く帰って来ると


優人は出際に言っていた。


(遅いわね。何かあったのかしら。)


明日は休みを取っていたので、明後日用の資料をまとめていると優人が帰ってきた。


時間は12時を過ぎていた。


「おかえりなさい。遅かったのね。何かあったの?」


「…。あぁ、麻子さん。…いや何でもないんだ。」


優人は麻子からの視線を避ける様に着替える為、部屋に入ったがすれ違いざま


ボディソープの匂いがした。


一瞬、振り返って優人が入っていった部屋を見てしまう。


(まさか…)


中島との事が思い出される。優人に限ってそんな事はないと思いたかった。


だが、優人の態度といい、ボディソープの香りといい、不審に思う条件はそろっていた。


そして昨日、真亜子があっさり引き下がり、ウェディングドレス選びをしたいと言い出した事も


気になった。


(嘘よね。優人さんに限って…。勘違いよ)


麻子は祈る様な気持ちで優人が入っていった部屋を見ていた。