「そんな事言ってくれた男性は初めてです。やっぱり過去にこだわり過ぎて
皆さんに不快な思いをさせてしまったので。」
「きっと今は無理かもしれませんが、いつかその男性の事も楽しかった
思い出になると、僕は思ってますよ。」
「優人さんってやさしいんですね。」
「そっかなぁ。職場では『仕事の鬼』って言われてますけど。」
「それは、優人さんが仕事とプライベートをちゃんと別けて考えてるからじゃないですか?」
「麻子さん。敬語はやめましょうって言いましたよね。」
「優人さんこそ敬語じゃないですか。」
お互いの事を言い合って二人は顔を見合わせて笑った。
「じゃぁ、今晩はうちに来る?それともエリーの事もあるから自宅に帰る?」
「今日は甘えちゃおっかな。」
「僕も麻子さんが来ると安心するんだよ。ご飯は美味しいのを作ってくれるし
何より、長い時間一緒にいられるから。」
交際を始めて2ヶ月目で、ようやく二人は堅苦しい話し方をしなくなった。
(大丈夫。優人さんならきっと大丈夫)
優人の笑顔を見ながら安堵した。