「女史が友梨香との結婚を許してくれないのなら、俺にだって考えがあります。」
「聞かせてもらおうじゃないの。あなたの考えとやらを。」
「事務所を辞めさせて頂きます。」
私が最も恐れていた事を光は口にした。
「光。まって。まだ話し合いの途中なの。
そんなに簡単に「事務所を辞める」なんて言わないで。」
「この人は言いだしたら聞かないんだ。俺はデビュー当時と違って
この人のいいなりにはなりたくない。」
「ファンの子達はどうするの?あなた達のコンサートを楽しみにしている子達が
大勢いるのよ。」
「そんな事ぐらい、俺だって判ってるさ。でも命と引き換えにしてまで、俺は
この仕事を続けたくない。」
こんな時、いつもおちゃらけてる光とは違い、頼もしく思えた。
でも事務所を辞めるなんて…。
私はそんな事を望んではいなかった。