スキャンダル!! 第2章 89話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

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自宅マンションから事務所までは近かったから、5分程度で事務所に到着した。


当然、光はまだ来ていない。


リハーサルなどで光の付き添いをしていたから、事務所のスタッフは


私の事を覚えていたらしく、すぐ社長室に通された。


『女史』は私が思っていたより年配の女性だった。


声や喋り方から、もっと若い女性だと思っていたから意外だった。


でも、印象はやっぱり予想していた通りにキツ目な感じがした。


白髪に近い髪をショートに切っていて、やたらと大きいビアスをしていた。


『女史』は薄ら笑いを浮かべて、社長室で私を迎えた。


「堕ろす決心はついたの?」


「堕ろすつもりはありません。」


こんな時、仕事で生かした強気な態度が役に立つ。


それでも『女史』は薄ら笑いを浮かべたままでデスクの椅子に深く腰をかけると、


「じゃぁ、あなたが勝手に産みなさい。事務所サイドとしては光との結婚は


許可出来ません。」


「私は江川さんと家庭を築きたいと思ってます。」


「それで、光がBLUE MOONを辞める事になっても?」


そこを突かれると痛い…。私はブルムンで光は活躍して欲しかった。


光は国民的アイドルだから、


私との結婚でファンの子達をがっかりさせたくなかった。


しばらく睨み合いが続いたけど、そこへ光がドアを蹴破らんばかりに入ってきた。


「女史!友梨香に俺達の子供を堕せって言ったってどういう事ですか!」


「そのままの言葉よ。元々、私は紺野さんとあなたの交際を認めたわけじゃ


ないんだから。」


「でも、この事務所に所属してるタレントは自分の子供みたいなものって


言ったのは女史じゃないですか。俺だっていつまでも独身のつもりはないし


いつかは結婚するんです。いい加減、俺達をがんじがらめにしないで下さい。」


…やっぱり芸能人との結婚って、そう簡単じゃなかったんだ。


覚悟していた事とはいえ、


ここまで問題が大きくなるなんて正直思ってもいなかった。