2つの鍵 第17話 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

最初から読む方はここから


それとも、じっと私の家を見つめているのだろうか。


どちらにしても気持ちがいいものではなかった。


美奈はシュレッダーで手紙を粉砕すると鍵を


武に見つからない様に自分の小銭入れにしまった。



数日後、無言電話がかかって来る様になった。


恐らく『彼』だろう。


だが、美奈は『彼』の名前を呼ぶ事もなく黙って電話を切った。


武は、



「何?無言電話?最近多いな。」



「そうね。一応警察に相談してみようかしら。」



電話をかけてる人に覚えはあったが、武にはそう言った。


そして何度目かの無言電話の時に美奈は思い切って聞いてみた。



「浩之なの?」



「やっと答えてくれたな、美奈。手紙は読んでくれたか?


鍵が入っていただろう。」



「こんな脅迫するみたいな事辞めて。貴方とは切れたのよ。


私だって子供もいるんだし…。」



「知ってるよ。香ちゃんだろ。可愛いじゃないか。」



「貴方、香に何したの?香は無事なの!?



「そう慌てるなよ。何もしてないさ。ただ、監視してるだけさ。


じゃぁ、今日は電話に出てくれたってだけで感謝してるぜ。じゃぁな」



そう言うと電話はプツリと切れた。


香を監視?じゃぁ常に香の登下校を見ている訳だ。


まだ幼稚園だから幼稚園の送迎バスがあって


誘拐などは出来ないとは思うがやはり心配だった。