OLと女優 第2章 37 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

最初から読む方はここから


…ダメだ。彼の頭の中には『結婚』の『け』の字もない。


と、思ったら光がポケットをゴソゴソ探している。


何を探しているのだろうと思って見ていたら、指輪のケースだった。


あぁ、そういえば私、明日が誕生日だっけ。


ぼんやりとそんな事を考えてケースを見ていた。


「うそだよ~ん。ちゃんと考えてたさ。


友梨香が欲しかったのはこれだろ。」


光が指輪のケースを開けるとダイヤのリングが入っていた。


思わず両手で口元を押さえる。


それぐらい大きなダイヤだったのだ。


一般人の私が買える様なダイヤなんかじゃなかった。


何カラットあるんだろう。


紗由理も武内さんもにやにやしながら


私達を見守っていて何も言わなかった。


光は私の左手を取ると薬指にその指輪をはめた。


以前もらったシンプルな指輪もしていたから、


まるですでに結婚しているみたいだった。


「光。これ…。」


「俺が何にも考えてないとでも思う?」


「思う。」


「ひで~な。友梨香がウェディング・ショップとか


何気にぼ~っと見てたの知ってんだぜ。


指輪とかさっ。だから、健に相談して買っておいたんだ。


で、いつ渡そうか、いつ渡そうかって悩んでたわけ。


俺なりに考えてた訳よ。」


光は苦笑しながら教えてくれた。