そんな私を光は下から顔を覗き込む様にして頭をくしゃくしゃにした。
「ばっかだなぁ。俺は友梨香から沢山のものを返してもらってるんだぜ。
友梨香が笑えば嬉しいし、
友梨香が俺のダメなところを叱ってくれたら俺は素直に反省出来る。
芸能人って一般教養がなってないからなぁ。
そこんとこを友梨香はちゃんと教えてくれてるじゃないか。
友梨香がコンサートに来てくれたら何倍も頑張れるんだぜ、俺。
知らなかったのか?」
「だってあんな大きなドームで私を見つける事なんて無理でしょ?」
「ところがなぁ、見つけられるんだな、これが。
すげぇだろ。やっぱり愛の力だな、うん。」
一人納得している光を見ていると、
私は私のままでいいんだという気持ちになってきた。
光の明るさは私を救ってくれる。
「光?じゃぁ、毎日来ている芸能記者に
貴方と付き合ってる事を公言してもいいの?」
「全然構わないさ。別に悪い事をしてる訳じゃない。
ただ、俺のファンから相当恨まれるぞ~。」
光は笑いながら重大な事を許してくれた。
これで私はこそこそして暮らさなくてもいいんだ。
堂々と光の彼女として生活していいんだ。
少し、私は気持ちが晴れやかになった。
嬉しさのあまり、光の頬にキスをした。
光からキスをされる事はしょっちゅうだったけど、
私からキスをするなんて滅多にないので
光は頬を手のひらで押さえてキョトンと私を見つめた。
「なんて言うのかな…。
私を芸能記者に公言してもいいって言ってくてたお礼。
これでこそこそしなくて済むもの。
そんなに見られるとちょっと照れちゃう。」
「すっげ~嬉しい。
友梨香からほっぺにチューなんてなかなかないもんな。じゃぁ、お返し。」
そう言うと結局光は私にキスをした。