私は泣き疲れると光の腕に包まれてソファでいつの間にか寝てしまった。
こういう時に限って、紗由理は武内さんと一緒に帰って来る。
光も日頃の仕事に疲れていたのか私を抱きしめたまま眠っていたので、
2人に非常に恥ずかしい場面を見られてしまう羽目になってしまった。
紗由理は最初はくすくす笑いながら私達を見ていた。が、武内さんが、
「なかなかいい度胸だな。共同ルームでいちゃついて寝るとは。」
と、紗由理と近づいてくるにつれ、紗由理の笑い顔は失われていった。
「龍雄さん。…違うわ。友梨香ちゃん、泣いてたのよ。
顔に泣いてた涙の後がある。」
私の少し落ちたファンデーションの部分を私達を起こさない様に指した。
武内さんはそっと私達から離れて、
「なにがあったんだ?強気の友梨香ちゃんが泣くなんて。」
紗由理は爪を軽く噛んで、
「多分、光君と付き合ってる事で何かあったんだと思う。
だから光君の前で泣けたのよ。
それだけ、芸能人と一般人が付き合うのは難しいって事よ。
とにかく、見なかった事にしましょう。友梨香の為にも。」