光がブルムンを辞めさせられる事にいまいち理解していない私を、
キッと見つめて上杉さんは、
「まだ、解らないんですか。
江川さんはブルムンの一番人気でリーダーでもあります。
その江川さんが電撃結婚なんてしたらファンの子達の衝撃は大きいでしょう。
ファンが減る可能性もあります。
しかも相手は一般の女性。
それだけで今でもファンの子達は不安に思ってるんですよ。
それを貴女はまだ理解していない!
それだけブルムンは国民的アイドルという事です!
ファンだった貴女なら理解してくれると思っていたのに…。」
上杉さんは一気に私に怒鳴る様に言うと、額に手をあて黙り込んでしまった。
彼もブルムンに賭けているのだろう。様々な事を。
自分の人生、自分の家族、自分の家族の人生…。
それだけじゃない。光には何人ものスタッフの人生が、肩にかかってるのだろう。
私はそれが判ってなかった。光は普段、お茶らけてるけど、
ちゃんと理解して行動していた気がする。
スクープされない様に雄二君とマンションに入って来たり、
深夜にこっそりやってきては私を驚かせたり、
彼なりに考えて、行動していたのだ。
…何も知らなかったのは私だけだった。
安易に結婚を決め手良かったのだろうか。
私の顔が曇っているのを素早く悟った光は、
「いいんだよ。俺達が幸せになればファンの子達も判ってくれるはずだって。
上杉も考え過ぎ!」
「はぁ…。」