OLと女優 第2章 3 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

お母さんは光を無視する様に紗由理にだけ話し掛け、


私の子供の頃の話などをしていた。


「友梨香も今はキャリア・ウーマンみたいに振舞っているけど、


子供の頃はおてんばでねぇ。


紗由理ちゃんとよく近所の方に怒られて帰って来てたわよね。


その紗由理ちゃんも実力派女優なんて言われる様になっちゃって。


私も歳を取ったはずだわ。」


「やだ~、おばさん。昔の話は禁物ですよ。


TVではこの私は出してないんだからぁ。」


「そうね。TVでの紗由理ちゃんと、


目の前にいる紗由理ちゃんは大違いですもの。」


母は笑いながら紗由理の肩を叩いた。


会話に入りたかったらしく、光はわざと明るく振る舞い、


「へぇ、友梨香っておてんばだったんだ。今でもその面影はありますけどねぇ。」


会話に入り込もうとした。だが、母は、


「貴方に友梨香の何が判るの?


私は子供の頃から1人で友梨香を育ててきたのよ。」


それに対し、


「僕の母もそうです。僕の両親は僕が幼い頃離婚しましたから…。


僕は父の顔を知りません。僕も母に育ててもらいましたから。」


その言葉に母の表情が少し変わった気がした。