私が黙り込んでしまったので光は、
私の機嫌を損ねたのではないかと思ったらしく、話を逸らした。
「友梨香、明日もDVDの撮影なんだ。友梨香は明日、会社休みだろ?
見学に来ないか?なかなかBLUE MOONのプロモーションムービーの
撮影を見学なんて出来ないぜ。まぁ、同じ事の繰り返しだけどな。」
高田君の事でぐじぐじ考えてるよりいいかもしれない。
それに私は元々、ブルムンのファン。
そんなのが観れるなんて考えもしなかった。私はしばらく考えてから、
「そうね。休みの日にまで貴方達の事で考え込んでるより良いかも。
行くわ。何時にどこに行けばいい?」
「いえいえ、お嬢様。お迎えに参ります。」
光はしらじらしく片足をつき、私の手を取りポーズした。私はその手を払って、
「バカね。誰かに見られたらどうするの。」
「スタッフとかとでも言うさ。その辺は俺だってバカじゃない。
今、芸能記者が俺の彼女を探すので必死なのは知ってるからな。」
「そんな時に大丈夫なの?」
「簡単さ。ここは雄二の住んでるマンションでもある。
スタッフも一緒に住み込んでいるとか、雄二を迎えに来たとか、
色々言い訳は出来るさ。」
「そんな簡単に誤魔化せるかしら。」
「簡単、簡単。一応、明日の雄二のスケジュール、
マネージャーに聞いとくから、後でメールするよ。雄二の事何か聞かれた時、
何も言えなかったらマズイだろ。」