だけど、私が家に着いた時には光は私と紗由理の部屋の前でたたずんていた。
今日は仕事じゃなかったっけ?
光は私を見つけるなり、ずかずかと私に歩み寄り、
「友梨香。なんだよ。あのメール。」
ちょっと光には珍しく怒ってるみたい。
「メールの内容通りよ。あんな高価な物もらえないわ。
丁度、宝石に詳しい娘がうちの部署にいてね、
1000万位はするって言ってたわよ。」
私達が廊下で言い争っていると同じ階の人が私達をチラチラ見ていた。
「廊下で話すのも目立つから、とにかく部屋に入って。」
私は光を部屋に押し込める様に入れると、ダイヤのリングを外そうとした。
その手を光は止めて、
「それって、俺からのプロポーズを断るって事か?」
「そういう訳じゃないけど…。
とにかくこれは私には高価過ぎるって言ってるの。」
どうしてもダイヤのリングを外させない光の為にコーヒーを入れながら、
光をどうにか説得させたかった。