OLと女優 67 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

とっさに右手に書類を持ち代えるとすでに遅し、


上島君がさっと私の左手を取って、


「あっれ~?紺野部長。凄い指輪してますね。


俺なんかじゃ買えないダイヤの指輪だ。」


わざとフロアー全体に響きわたる声で皆を集めた。


わらわらと私のオフィスに人が集まる。主に私の部下だけど。


上島さんが私のダイヤのリングを見て、


「これはほぼ1000万近くはしますよ。このカット。


ブリリアントカット、相当な物ですよぉ。」


「上島さん、やけに詳しいわね。」


「いずれは玉の輿ですから。」


だけど上島さんの話が本当なら、芸能人ってやっぱりお金持ちなのねぇ。


って、こんな高価な物もらえないわよ。でも、皆はダイヤのリングに釘付け状態。


とりあえず左手を皆から引っ張り出すと、


「私、早退するから。皆、自分の仕事は出来るわよね。


中畑君、その資料頂戴。家でチェックするから。」


私は逃げる様に家に帰った。帰る途中で光にメールを送る。


『光へ。やっぱりこんなに高価なダイヤな指輪貰えないわ。


返したいからオフの日でもいいからうちに来て』


返信はすぐ来た。


『もう、友梨香に渡しちゃったから友梨香の物だよ。


それより、結婚式どこでする?』


…ダメだ。会話がメールだと成立しない。


これは光がうちに来るのを待つしかないわね。


と、言ってもいつ来れるか分からない人だけど。