OLと女優 65 | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

「友梨香、ちゃんとシンプルな方はいつもつけていてね。俺もしてるから」


「どうしても?」


「どうしても!」


「…判った。」


でも私の不安は的中した。


シンプルバージョンの指輪をして会社に行ったら、部下の女子の娘達が、


すぐに私の指輪に気付いて騒ぎ始めた。


「あれ~、紺野部長。その左手に光る指輪はどうしたんですか?


彼氏からのプレゼントですか?」


「まっ、まぁね。どうしてもしてて欲しいって言うから。


でも私が指輪ってガラじゃないでしょ。」


「ううん。そんな事ないですぅ。シンプルだし、部長位のクラスになったら、


それぐらいのアクセサリーしててもおかしくないですよ。


でも左手って事は結婚を視野に入れてる彼氏なんですか?」


まさか、プロポーズされたなんて言えない。ここは仕事の話で切り抜けよう。


「はいはい。この話はここまで。


上島さん、安藤部長に提出するデータは揃えたの?


松村さん、中山君とやる新案は出来上がったの?ほら、みんなさっさとする。」


私は両手を叩いて皆を仕事に戻し、自分は私専用のオフィスに入った。


そして、外から見られない様にブラインドを降ろすと、


コーヒーを入れ一息ついた。


指輪1つでこんなに大騒ぎになるんだから、


光と付き合ってるのが皆に判ったらどんなに大騒ぎになるだろう。


考えただけでも、頭が痛い。それを光は


『なんとかなる』


の一言で片付けてくれちゃって。本当に大丈夫なんだろうか。


不安ばかりつのる。まぁ、光もブルムンのリーダーを務めているぐらいだから、


何か考えているんだろうけど。