まぁ、私の前では芸能人じゃないって言ってくれてるけど。
でもやっぱり、普通に2人で表参道とかでデートをしたい。
彼には言ってないけど。
だって、彼は5万人のコンサートを成功させる様なアイドルだから。
「友梨香?」
私が考え込んでいると、光が心配そうに声をかけてきた。
ちょっと深刻な顔をしていたみたい。
「ん?」
「どうした?難しい顔して。」
「ううん。なんでもない。仕事の事を思い出しただけ。
ほら、私ってこの歳で部長でしょ。色々あるのよ。」
私は嘘をついた。彼に心配かけたくなくて。
でも光は私の嘘にすぐ気がついて、
「嘘つけ。俺と付き合う事で悩んでるんだろ。
まだ、バレてないけどいつかは友梨香の事公表しようと思ってるからなぁ、俺。」
「嘘でしょ。そんな事したら私、仕事に行けなくなっちゃう。」
「まぁまぁ、その辺はちゃんと考えてるから。最終目的は結婚だからなぁ。」
「けっ、結婚って。」
私が唖然として光の顔を見てると突然レストランの椅子から降りて、
片足を立てた状態で、私の左手を取ると、
「紺野 友梨香さん。僕と結婚してくれませんか。」
まるで舞台の様にプロポーズをしてきた。
武内さんも紗由理も突然の事で驚いていた様だけど、
私がOKを出すだろうと期待を込めて私の顔を見ていた。
私は突然の事だったし、
武内さんや紗由理がいたから頭が真っ白になってしまった。
私は光の手を振りほどくと、
「光はアイドルでしょ。簡単に結婚なんていわないの。事務所の許可はとったの?
ファンの事は考えたの?
結婚しましたなんて報道した時の事を考えたの?無計画過ぎるよ。」