「友梨香ちゃ~ん、ただいま~」
私はいつもの様に友梨香ちゃんに抱きつく。
でも、今日の友梨香ちゃんはなんだか、機嫌が悪かった。
なんでだろう。仕事で何かあったのかな?
とにかく今回の妊娠騒動の原因が判ったからさっそく友梨香ちゃんに話した。
「友梨香ちゃん、友梨香ちゃん。
妊娠したかもって話なんだけど、原因が判ったのよ。」
「原因?」
「ほら私、今度新しいドラマやるでしょ。それって医療系なのね。
で、台本をもらった時に専門用語がいっぱいで頭がくらくらになったの。
『左室縮小手術』とか『遠隔心不全回避率』とか。
まぁ心臓が専門のお医者さんの役なんだけどね。
こんな言葉がカメラを5分位回したまんま撮影するのよ。
それがストレスになったのね。読み合わせの時、
胃から心臓が出そうだったもの。」
「…。」
「友梨香ちゃん?」
「何、甘えた事言ってるの。私は貴女が読者モデルから、
本業としてモデルになる時に私は反対したでしょ。
いずれはそう言う人は女優業になるって。芸能界は向いてないって。
それでもやりたいって言ったのは紗由理よ。
いくら専門用語が多いドラマだからって弱音を吐くんじゃないわよ。
しかも妊娠騒動まで起こして。気が緩んで仕事をしてた証拠よ。
しっかりしなさい。」