OLと女優 39  | Vicissitudes de richesse ~七転八起~

Vicissitudes de richesse ~七転八起~

人生、転んでも立ち上あがれば勝つんですよねぇ
だから、転んでも立ち上がるんです
立ち上がって、立ち上がり続けるんです

スェット姿で片手にビール缶を持ってる状態で私と雄二君は初対面した。


私は慌ててビール缶をテーブルに置いて、首に巻いていたタオルも外して、


今の姿で出来るだけの正装で、雄二君に挨拶した。


「あ、あっ、デビューした頃からファンでした。


あ、あの、雄二君のダンスとか凄くかっこいいと思います。握手して下さい。」


私は顔を真っ赤にして手を指し延べた。すると、


「君の事は光からよく聞いてるよ。光の彼女なんだってね。


だめだよ、浮気しちゃ。」


優しく握手をしてくれて、武内さん達の元へ歩み寄って行った。


取り残された私は握手された手の形のまま立ち尽くし、


しばらくかかしの様に立っていた。


その様子に気が付いた、紗由理がスキップで歩み寄って来て、


「念願の雄二君に会えて感動しちゃった?」


なんて、笑いながら聞いてきた。


私は紗由理には江川さんにと恋人と思われてるのが


嫌なのが分かって欲しかったのに、


それが分かってもらってなっかった事が悲しかった。


「ありがとね。雄二君、呼んでくれて。握手までしてもらっちゃった。


私、お風呂にも入ったし、部屋にいるね。おやすみ。」


私は涙を見せまいと部屋に素早く入り込み、


ベットに飛び込むと、枕に顔を押し付けて声を殺して肩だけを震わせた。


どんどん、私の気持ちに反して、私はあいつの恋人になっていく。


誰か、私の気持ちに気付いて…。