「だから言ったじゃない。光君は友梨香ちゃんの事が気に入ったって。
ありえない事じゃないよ。一般の人と芸能人が結婚って。良いじゃない?」
けっ結婚って…。
「だぁかぁらぁ、私は雄二君ファンなの!!
そこまで言うなら、雄二君に会わせてよ。」
「雄二君に会ったら光君との交際を認めるの?」
「それは…、それは会ってみないと分からないわ。」
なんだか私、ムキになってる気がする…。
あの時のキスも目を閉じそうになったし…。武内さんが、私の様子を見て、
「わかった、じゃぁ雄二も呼ぼうじゃないか。
ついでにブルムンのメンバー全員呼ぶか。」
武内さんはロックミュージシャンらしく、派手に事を進め様としていた。
それを紗由理が、
龍雄さん、それじゃぁ友梨香が目を回しちゃう。
元々から普通のブルムンのファンだったんだから。
それがいきなり、新聞で、光君の彼女扱いされたり、
うちでだったけどキスされたりで、光君に振り回されてるんだから、
メンバー5人が来たら、尚更目を回しちゃうわ。
だから、その案はダメよ。雄二君、1人が来るならともかく。」
えぇ、ホントに来ちゃうの?言ってみただけなのに。
えっと、今日はもうお風呂に入っちゃったから、
今日はパスとして、明日以降にしてもらう。
「ね、ねぇ、紗由理。まさか今日雄二君を呼ぶ訳じゃないわよね。」
「今から電話するつもりだけど?」
「だめ~。私、お風呂入っちゃったし、すっぴんだし、スウェットだし、絶対ダメ。」
「でも雄二君、このマンションの2つ、上なんだよね。すぐ来ちゃうよ。
それに龍雄さんが、すでに電話してるし。」
紗由理はケロリととんでもない事を言ってくれた。
マンションが同じ?すでに電話した?2階上?…。
もうダメだ…。ついていけない。って落ち込んでる前に雄二君が来る前に
普通の副に着替えて、軽くメイクもしなきゃ。あぁ、せっかくお風呂に入ったのに。
私がジタバタしたると玄関のチャイムが鳴った。雄二君だった。
私はファンなのにスウェット姿で初対面する事になってしまった。
しかも、すっぴんで。最悪。