After15-20 years -14ページ目
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予想外の展開の終末

「もう一度やり直してみる。すっかり心は冷めたけれど。」
ギラギラした太陽が映る水面を見ながら、彼女がポツリポツリと話し始めた。


  ここのところ毎日、会社帰りや、ランチタイムに、
   なんとか時間を作っては逢ってきた。
  日に日に消耗していく彼女。
   頬は痩け、目の下には隈ができていた。
  こんなに疲れ切った彼女を見たのは初めてだった。

  

  ご飯を食べたり、コーヒーを飲みながら、
   「安定剤を飲まないと眠れない。」
   「寝ても、すぐに目が覚める。」
   「夜になると、涙が溢れて止まらない。」
  自分の苦しさを、伝えてくる。

  それでも、
   旦那に対する期待や、
   十数年にわたる結婚生活にピリオドを打つ戸惑いが、
  言葉の端々に感じられた。

  

  「焦って結論を出してはいけない。」
  「投げやりな気持ちになってはいけない。」
  家に送る車の中で、彼女の手を握り、何度も伝えた。


海が夕日に染まるまで、
 一緒に海を見ていた。
彼女の長い髪が潮風に揺れるのを見ながら、
 サングラス越しに彼女を見つめていた。

手を繋ぎながら、
 「いつまでも、こうしていたい」
彼女が、はにかんで言った。

それぞれの夫婦のこと(1)

どちらの家も共稼ぎ。

彼女と僕、偶然にも彼女の旦那さんとうちの家内がそれぞれ同業者。

僕たちの世界では、同業者同士の結婚が異常なまでに多い。

そんな中で異業種の夫婦と言うことも、二人の距離を近くした一因だった。


 僕達の業種・・・●勤務時間など有って無い。●深夜まで会社で仕事を

         するか、自宅に持ち帰るのは日常茶飯事。●たいてい

         土日には、その週に片付けられなかった仕事をしている。

 妻達の業種・・・・○勤務時間は、8時間労働。(ただ終業時間は夜遅くで

         あるが。)○家に仕事を持ち帰ることはない。○週に2回

         の休日と、年2回の長期休暇。(労基法に素直な業種で

         もあるが。)

          

そのため、僕は毎日のようにご飯を作り、子供を風呂に入れ、寝付かせ、それから机に向かう。妻の休日は、学校から帰った来た子供達と、どこかに遊びに行く。家のことをそっちのけで。

彼女は、毎日弁当や食事を作り、滅多にない自分の休日に、掃除洗濯をまとめてやる。彼女の旦那は、休日にはゴルフ・飲みに行って終わる。


それぞれの夫婦がすれ違い始めたのは、これが大きな原因であった。(更には年収入の差)


偶然にも(当然の成り行きかもしれないけれど)、

同じ事をそれぞれの家庭で言うことが多くなってきていた。


「少し家のことを分業しないか?

 疲れてヘトヘトなんだ。手が回らないんだ。」


「ここまで何でも1人でやっているんだから、2人で生活しなくても

 いいじゃない?おまえ(あなた)は、僕が(私)がいないと家のこと

 など困るのだろうけれど。僕(私)は、1人でも十分に生活していける。」


依然として状況は、ここ数年変わっていない。


うちの場合、妻は言う。

「あなたは、結婚・家庭に向いていないのよ。

 何でも1人でできるんだから、いつでも、1人になれば

 いいでしょ!」


ただ僕には、どうにもならない弱点があって・・・1人では生きていけないのだけれど。

予想外の展開に?

昨晩遅く、「電話してもいい?眠れない・・・」と、携帯にメ-ルが来た。速攻で電話を入れる。


 ・離婚に向けて、話し合い始めた。

 ・もう、夫のことを信用できない。

 ・悲しいけれど、十数年間、結局子供もできなかったし。

 ・このまま夫婦関係を維持するメリットがない。

 ・有名な占い師に見てもらったら、離婚を勧められた・・・云々


彼女の家では、今までに何度も「離婚」「別居」の話合いが行われてきた。その都度、彼女が折れる形となり、旦那さんの意識や生活スタイルは依然として変わらないのは、知っている。


結論は、彼女が出すことしかないだろう。

どのような結論が出てても、僕は彼女を支えていくだろう。

 たとえ離婚を選び、新しい恋が始まったとしても、

  彼女が幸せになるのなら、それが一番であろう。

悔しいけれど、情けないけれど、

「別れて、俺と一緒になろう」とは、今すぐには言えない。


 子供たち?・・・新しいお母さんと、父さんと新しい生活を始めるか?

           それとも、お母さんと3人で暮らしていくかい?

 ねぇ?   ・・・おまえは強い女だから、僕がいなくても大丈夫だよね?

           仕事辞めていなくて、続けてきて、よかったね・・・


書斎で、1人呟いていた・・・

20年後に・・・

「・・・お子さんには、両親が必要なのよ!

 お子さんには寂しい思いをさせてほしくないの。

 これが私の価値観。

 価値観が違うのなら、これから先、うまくいくわけがないでしょ?」

と、彼女が初めて感情をあらわにしたのは、1月のドライブの帰り道。


このことがあってから、自分の人生・親としての役割・妻との対応・妻の人生、そして彼女の家庭のこと・・・を考え始めるようになった。


「好きなんだ。僕の人生に必要なんだ。」

という言葉を、無責任に言えない自分の置かれている環境・立場・年齢などを思い知らされた瞬間だったのかもしれない。


とりわけ彼女がこだわっているのは、僕の2人の子供のこと。

「それぞれが独立するまでは、責任を持って育てて。私が新しいお母さんになったり、お子さんがお母さんと3人で生活していくことを考えると、やっぱり、かわいそうだもの。」

何度も何度も、この言葉をつぶやいている。自分に言い聞かせているようにも感じるけれど。


そこで僕が出した結論。

「20年後、子供達はとっくに独立しているだろう。

 その時に、一緒になってくれ!って、必ず、お願いするよ。

 あと20年、待っていてね。それまで、この関係を保っていこう。」


彼女は、うれしそうに、うなずいた。

人気もまばらになった深夜、繁華街の信号待ちの交差点で。

婚外恋愛?

 彼女と知り合って、もう、7年。存在を意識するようになって、まだ、1年。

 手も繋いだこともなく、もちろんKissすらすることもなく、ただただ、仕事の悩みや家庭の悩みを、隠さずに話せる仲。ひょっとしたら、誰よりも僕のことを知っている人なのかもしれない。


 それぞれの仕事が連日深夜までかかり、仕事上でのアドバイスを求め合い、忌憚のない意見を言い合い・・・そうやって1つ1つ仕事を片付けてきた。そうして得てきた仕事での信頼感・ある程度の名声・収入。

 その一方で積もりゆく配偶者への不満・配偶者の理解不足による苛立ち。


 すがってはいけないと思いつつ、気がつけば、大切な心の支えの関係。


 これって婚外恋愛?

 たんなる相互信頼?


 悩む夜が増えてきました。

はじめまして

 年を重ねると、年々多くなってくるしがらみ。

 心惹かれる女性に対しての気持ちが、一時的なものではなく、相手も、自分に好意を寄せているとき・・・・学生時代なら、すぐにおつきあいが始まるだろうし、独身社会人なら、結婚を少しは意識して、おつきあいを始めるでしょう。

 では、双方とも、既婚者であったときには、どうしたらいいのですか?


 気持ちの整理をする意味も込めて、このBlogを立ち上げました。

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