■「内定への一言」バックナンバー編


「ならば、今こしらえてみたまえ」(ベンジャミン・フランクリン




先週末のFUN Business Cafe(毎週土曜朝の読書会)では、歴史の鉄則」(渡部昇一・PHPを読み、累進課税制度をはじめとする税制が、どのような経済思想や文化背景から作られるか、を語り合いました。


名作のハイライトを読む勉強会も、もう20冊目を数えました。Business Cafeにいつも欠かさず参加し、毎回の課題図書を何回も何回も読み直し、終わりの時間を迎えるとマックに行って、自分の所感を要約している学生さんがいます。


福岡女子大学英文学科2年の、Tさんです。読書熱心なTさんは、読み終えるなり所感をブログにまとめ、さらに「税制や経済思想、歴史的背景をもっと勉強したいんですが、何かいい本はありませんか?」と聞いてきてくれたので、僕は先日、7冊ばかり関連図書を貸してあげました。


その、貸してあげた7冊の中に、19世紀のイギリス経済に多大な影響を与えたサミュエル・スマイルズの「自助論」(三笠書房)があります。


明治時代に中村敬宇(正直)が翻訳し、西国立志編という題で出版した本書は、日本経済を支えた明治・大正の大事業家の青年期のバイブルとなり、多くの若者の心に火をつけた伝説的ベストセラーです。


経済思想やお金との付き合い方、働き方、仕事の選び方、人生の築き方このような分野で本書が現代史にもたらした影響は、大きなものがあります。さながら、人を動かすの人生・仕事編とでも言うべき本です。



さて、その中にTさんが最近「自伝」を読んだベンジャミン・フランクリンのエピソードが出てきます(昨日紹介した「後世への最大遺物」にも収録されています)。


この「努力と勤勉の化身」のような人物が、アメリカでどのような偉業を成し遂げたかは、あまりに有名なので触れませんが、フランクリンは「実務家」としても有能でした。



彼は「お金や時間」の価値を非常にシビアに見つめています。そして、お金や時間が「ない者」の習性を見つめ、若者に「偽善的言説にまどわされるな」というメッセージを送っています。


若きフランクリンの周りには、お金にだらしない者もたくさんいました。そういう人間に限って、よく、こういうことを言います。


「別に、金のために働いているんじゃない」

「お金なんて、いつでも作れる」

「私は、お金を人生の目標にしたくない」


「だから何?」って感じのこういう言葉は、大抵が「貧乏人のやっかみ」に過ぎませんが、嫉妬大国・日本ではメジャーな世論です。


フランクリンは、自分にお金と時間の余裕がなく、人に雇われて安月給に甘んじては、言った先から決意を忘れ、毎日愚痴ばかりで過ごす友人が「金なんて、いつでも作れる」と言ったのを聞いて、こういいました。


「ならば、今こしらえてみたまえ」


友人は黙り込みました。この「今」を切り詰めて積み重ねる以外に、将来の経済的・時間的余裕を生み出す手段は、何一つないのです。


その「今」を大事にできない人間に、将来のチャンスなどはありえません。もしあっても、そのチャンスは、その人だけを通り過ぎていくようにできているものです。


フランクリンは、そういうごまかしをせず、不屈の意志と計画で、あれほどの人物になったわけです。


さて、皆さんは、就活で落ち込むことがありますか?落ち込んだ時は、癒しや慰めの言葉が心地よく響くことでしょう。


しかし、癒しや慰めは、その時の気分を落ち着けるのには役立ちますが、本質的解決には、何の役にも立ちません。「自助論」では、さらに以下の有名な話を紹介しています。



アルジェリアのある地方では、家畜として使う猿を捕獲するのに、ある伝統的な方法を用いていました。それは、「穴を開けたヤシの実」にひもをつけた罠を使う、という単純なもの。


穴の大きさは、猿の手ほどのサイズ。そして、中身をくり抜いたヤシの実の中には、猿の大好きな「ピーナツ」が一粒、入っています。その仕掛けに数メートルのひもを付け、原住民たちは猿のいそうな場所に置いておくわけです。


すると。猿がやってきました。ヤシの実を発見したようです。不思議そうに眺めています。おっと。「穴」が開いていました。不思議に思った猿が中を覗いてみると


なんと!大好きで大好きでたまらない「ピーナツ」が入っているではありませんか。


「ラッキー!」


興奮した猿は、手を細めて穴に手を通し、念願のピーナツを「ギュッ」と握り締めました。その瞬間、自分の体が引っ張られるような妙な感覚が、猿を襲いました。「おかしい!?」。



しかし、手には大好きなピーナツが握られています。どうしても食べたいピーナツはすぐそこにあるのに、握り締めた拳が、穴から抜けません。


「どうなってるんだ?でも、ピーナツ食べたい!」


猿は迷いに迷い、ピーナツごと手を抜き取ろうともがくも、手を細めてはピーナツがこぼれてしまうのが惜しくて、手を開こうとしません。…ガシッ!哀れな猿は、人間に捕獲され、一生酷使される「家畜」となったのでした。


という、僕たち経営者の中では有名な話です。本来の目標を見失って、感情の隙間に忍び込むように近づいてくる「目先の利益」、「新商品」、「新サービス」という誘惑に幻惑されたら、一巻の終わり。


あとはこの猿のように、自分の欲望に捕獲され、会社や借金の「奴隷」として生きるしかありません。だから、くれぐれも「企業理念の顕現」という第一目標を見失って、軽率な行動に出てはならぬ、という教訓を示した小話です。



この話をFUNで紹介したのは、もう2年も前になるでしょうか。大学は、言いようによっては、毎日が「ピーナツ祭り」と言ってもよい場所で、どんなに手を抜いても抜ききれないほど、堕落の手段が溢れています。


既にその誘惑にはまり、拳を開かず、欲に捕獲された猿たちが、キャンパスの中にはウヨウヨいます。就活でも、あっさりと努力を放棄し、自分の失敗を正当化してくれる「ピーナツ」に走ったばかりに、卑屈な猿となってしまう学生も多くいます。


だから、「君たちは、ああいう哀れな猿になってはいけない」と、仕事やビジネスの本質的なあり方を説明したのが、昨年夏の「財務・会計スペシャル」でした。



なぜ「今」やらないのか?それは、昨日の「今」を捨てたから、今日の「今」とプラスされて、「今」の負担が倍増したからです。


「放棄した今」が蓄積されれば、それはいつか、見た途端に意欲を殺いでしまうくらいの重圧感を持って、自分に迫ってきます。


最後は「やらない」を「やれない」とごまかして、何のプラスにもならない自己満足を楽しむだけ。こうして、自分で徹底的に自分を邪魔し、人が妨害する前に、自分で自分の進路に「巨石」を置く若者が多すぎるのが、「自助論」を書いたスマイルズの懸念でした。



大切な作業を先延ばしにしようとする自分がいたら、「ならば、今やれ」と、フランクリンの言葉を思い出しましょう。


今手を付ければ、すぐに終わりますよ。僕も毎日、そういう思いでメルマガを執筆していますから、皆さんもできるはずです。継続なんて、3日やれば「楽勝」です。

■「内定への一言」バックナンバー編


「忙しい人こそ、怠け者である」

金持ち父さん 貧乏父さんロバート・キヨサキ 筑摩書房)




「何だって?」と思う一言かもしれません。「忙しい」とは、「時間がない」こと。「時間がない」とは、「予定で埋まっている」ということ。そして、「予定がある」とは、「怠けてはいない」という証拠じゃないのか


「忙しい人=怠け者」だなんて、おかしい。


確かにそれも一理あります。もちろん、「予定があって忙しい」のも真実。


しかし、「どんな予定なのか」が大切です。本書では、「本当にやるべき大切なことが分かっていながら、忙しいと自分に言い聞かせることで、重要な課題と向き合うことから逃げるのは、怠け者だ」と指摘しています。


具体的には、「今は忙しいから、それができない」、「お金ができたら、貯金する」という、多くの人が陥りがちな自己欺瞞を指摘しています。



「忙しい」と言うのは簡単です。あんまり言い過ぎると、自分でも自分の位置がよく分からなくなり、口にするだけで心がソワソワしてきて、「だから自分は、今、それをしなくてもいいんだ」と自分の怠慢を正当化してしまいかねません。


そして、そういう「忙しい」は、大事なことだけやってない=無駄な遠回りばかりに忙殺されている」という点で怠慢だと、著者は指摘します。


つまり、「自分で自分の邪魔をしている」だけ。忙しかろうが忙しくなかろうが、期限までの時間があろうがなかろうが、「それをしないと進めない」という課題は、だいたい誰でも、本心ではよく分かっています。



それに、取り掛かる「忙しさ」と、逃げる口実としての「忙しさ」では、同じ言葉でも意味は全く違う。だから、自分をごまかさないようにしよう、簡単に「忙しい」と口にしないようにしよう、と、先週水曜の「早朝読書会」で、学生の皆さんと語り合いました。


「忙しい」と言いそうになったら、「忙しくない!全然!」と言葉を飲み込んでしまいましょう。その瞬間、私たちはさっきより、新しくなることができます。

■「内定への一言」バックナンバー編


「全てのツケは、

そうなるよ、と言われても、そうならないと動かない人間が背負う




ここ数週間、早朝から深夜まで韓国語の教材作りに没頭していたため、メルマガをお休みしていました。日々天神や赤坂、西新の喫茶店で作業をしていて、日増しに変化を感じたのが、やはり衆議院選挙でした。


各党の候補者が公約や演説を発表し、福岡の町も選挙一色になりかけていますね。何が最大の問題か、それぞれの項目がどうかなどという話題は省き、どの政党のどの公約も、「お金」に関連したものであることは、いつもの選挙以上に強調されている事実です。


日本国の財政は、それほどまでに大変なのです。どれくらい大変か知りたい方は、以下のURLに飛んでください。「借金時計」を見ることができます。(腰を抜かさないよう、しっかり座って見て下さい)


http://www.takarabe-hrj.co.jp/takarabe/clock/index.htm



見ましたか?信じられませんよね。数字は言葉以上の説得力を持っているものです。まさか、こんなにすごいなんて、一分前は思わなかったでしょ?


今、この瞬間はまだ、「そっか、経済を知っておかないとやばいな」と思っているでしょう。しかし、十分後はどうか分かりません。明日になったら、「なんかあったね、そういえば」となっているかもしれません。数日したら、借金時計を見たことすら、忘れているでしょう。



そして、ただちに「よし、経済を勉強しよう!」とか、「これは、自分の仕事を真剣に考えなければ!」と思ったごく少数の人だけが、勝ちます。何をどう学んだかよりも、そういう動き方ができることが肝心です。よかったですね、動けた方。


プラスにしろマイナスにしろ、刺激や感動、気付きというものは、一番ピークの状態に行動に移さなければ、「嫌な自分」と毎日待ち合わせてしまうものです。あと一分早く体を起こしていれば、「最高の自分」と待ち合わせられたかもしれないのに…。もったいないです。



社会人にも、たとえば営業マンで月の中旬にさぼっている人がいるとして、同僚や先輩から「おまえ、それじゃ月末はきついぞ」と言われても、「何とかなりますよ」と聞き流している人は、月末に「どうにかして…」となっています。


もちろん、誰もどうにもしてあげません。自業自得だからです。学生なら、試験や卒論、就活で、「今遊ぶときつくなるよ」と言われても、「なぁに、まだ大丈夫」と言っていた人は、直前になって「やばい…」と言うでしょう。


しかし誰も、なんとも思いません。自業自得だからです。どちらも、自分の想像力不足と意志の弱さを反省し、それなりに対処すればいいのです。


世の中の勝っている人、儲けている人の共通点は、「意志が強いこと」、ただそれだけです。他の要素や資質は、全て意志の強さに付随して生まれてくるもの。


逆に言えば、いつも時間とお金の無理をして、毎回一番高い時に支払を強制されるのが、意志の弱い人間の共通点です。



「冬から就活を頑張るぞ!」と言う方、なぜ今じゃダメなんですか?冬からは、「残り物」しかありませんよ。全てのチャンスは、今動いている人が総取りします。と書いても、「だから何だよ!」と思う人は、それでいいでしょう。


「周りはまだ、誰も動いてない」?それはきっと、周りが怠け者ばかりなんでしょう。頑張っている人、夢を持っている人、いつも動いて、心地よい疲れにひたっているカッコいい友達は、身近に何人いますか?もしいないなら、そういう環境にいるなんて、すごく危ないですよ


なぜ、「今動かなくていい理由」ばかりを探したがるんですか?



「そっか、自分は勝ちたいし、勝つ人間になれる!」と思った人は、事実勝ちます。今の自分に「ないもの」よりも「あるもの」を信じて動けるからです。そういう人には、「ツケ」は無縁です。


ツケを払っている行動は、いくら大変でも、努力ではないということですね。冬にゆとりと自信を感じたい方は、FUNではこの秋から「就活コース」というのをやるので、そっちにご参加をどうぞ。さっさと取り掛かって、遠慮なく勝ちましょう。


本気は疲れません。そして楽しいものです。「やりたいことがない」からって、何を気にする必要があるんでしょう。それを見つけたいという動機もまた、立派な夢です。今日怠ければ「ツケ」になる時間も、自分を信じて動けば、自信と経験になりますよ。