前原国家戦略相が日銀に対し圧力をかけるなど政府主導で円高抑制姿勢が目立ちます。
氏は日銀の積極的な金融緩和への努力が足りなければ日銀会合に参加する可能性を示唆。更に、日銀による外債購入に前向きな姿勢を示すなど当局による日銀への圧力がここにきて強まります。外債購入に関しては財務省の介入との違いも含めその効果がどこまであるのかは疑問が残ります。しかし、日本がこのような動きを示したことは市場への強いメッセージとして受け止められます。これまでの日銀の消極姿勢は海外勢に足元を見られる原因となっていたこともあり、今後このような前原国家戦略相のような動きは注目されます。
今週開かれる日銀会合では19日に追加緩和を実施したばかりでもあり、日銀短観の結果も含め追加緩和の可能性は低いと予想されています。しかし、短観では中国リスクが殆ど織り込まれていないことや、政治的な動きも含め更なる緩和を実施する可能性を残します。今回の会合で追加緩和が実施されないとしても、次回30日会合では半年に一度の展望リポートが公表されます。この中で消費者物価指数の1%に達する可能性が高いという文言を修正する可能性が高く、それだけでも円安を促す効果はありそうです。
昨日もクロス円は全般に強含みで推移。RBAが政策金利を0.25%引き下げたことでオージー円だけは陰線で終わったものの、その他のクロス円は全般に買いが先行。ドル売りと円売りの動きでは円売りの勢いが上回りました。スペインやギリシャの債務問題は燻るものの、ECBの理事会や来週のユーロ圏財務相会合を控え期待感が高まります。全般にリスク回避の動きが後退するなかで、円は当局の円高抑制への姿勢などからも売られやすい展開が継続するとみます。
<ドル円>
RBAの利下げでクロス円全般に売りが強まるかと思われましたが、結果的にオージー以外のクロス円は堅調に推移。円売りの動きが投機的なものではなく全般に浸透する前触れにも見えます。ドル円の下落リスクが懸念するところが多く、全般にショートになりがちなだけにじりじりとドル円の上昇は進行するとみます。今回の上昇なクロス円の買いが中心とみられます。ドル円のショートは依然としてキープされていると考えられます。上昇の勢いは低く、ドルベア派にとってショートは切りにくいところです。そのため、下げたところでは買いが並ぶと考えられるため底堅い動きは継続。レジスタンスは日銀が追加緩和実施後の戻り高値である78円ミドル付近。78円割れには買いが並ぶとみます。
<ユーロ円>
スペインのラホイ首相は昨日、ユーロ圏への救済要請は差し迫ってはいないと言明。しかし、市場は同国がいずれ支援要請をするのは時間の問題とみていることからユーロは上昇。ギリシャに関してもトロイカとの合意が難航しているものの、こちらもいずれに合意に達するとの楽観的な見方が大勢。対ドルでの上昇の勢いは衰えているもののドル円の買いが強まることからユーロ円は底堅い動き継続。ソーサーボトムを形成しつつあり101円ミドル最初のレジスタンスとみます。サポートは100円80銭。
<オージー円>
RBAが0.25%の利下げは予想外でした。この決定はサプライズとなり発表後は窓が空き、その後窓埋めの動きもみられましたが再び下落。利下げショックはまだ市場心理として残ります。年内更に0.25%の利下もあるとの見方から今日も上値の重い展開は続くと思われます。今日の豪州8月貿易赤字額は前月を上回るとの予想もオージーの上値を抑えています。その前の中国非製造業PMIの指標も注目されます。中国の景気減速が鉄鋼製と石炭価格の下落に繋がったとの見方もあり中国の指標には敏感に反応してくると思われます。利下げの理由として雇用市場の弱さ、インフレ抑制、個人消費の鈍化などを挙げています。また、豪ドル相場が予想より高水準を維持していることも示されたこともオージー円の下落に繋がりました。しかし、ドル円の上昇が投資としてのオージー円の底上げにつながり下げ幅は限定的とみます。全般にリスクオンの動きもあり7月以降のサポート79円ミドル付近を下回るのは難しいとみます。