QE4は時期尚早 | 岡安のFXブログ レグザム・フォレックス

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-~ 岡安式相場の読み方 ~




昨日のNY時間にフィラデルフィア連銀のプロッサー総裁発言が株価やクロス円の下落に繋がりました。
プロッサー総裁の発言内容では「QE3は経済成長や雇用の押し上げる可能性は低く、金融当局の信頼性を脅かしかねない」「これ以上の資産購入によるバランスシート拡大はリスクがかなり大きくなる可能性がある」「インフレ率と同様に雇用水準に目標を定めることはできない」と指摘。プロッサー総裁はFOMCでの投票権を持たないものの、この発言には今回のドルの動きのヒントが隠されているように思われます。
FOMC直後にドルは下落したもののその後は寧ろドル買いが続いています。これまでQE1、QE2が実施されると米国のドル安容認という市場のコンセンサスもありドルが売り込まれてきました。今回のQE3では雇用の改善が顕著にみられるまで継続するというものでした。また、国債を購入対象から外しMBSだけを購入することを決定。それだけ国債価格が高値圏にありこれ以上購入しても効果がないと考えたためと考えられます。長期金利は既に歴史的な低レベルであり金利によるドルの下落には限界がみられました。プロッサー総裁の言うように金利面では効果は殆どみられないということになります。ただ、MBSの購入により住宅市場の回復基調が更に早まり景気浮揚に効果があることも確か。ECBが無制限の国債購入を決定したことで債務危機への懸念が後退しユーロの上昇に繫がりました。QE3も金利によるドル売りではなく景気回復期待からのドル上昇とも考えられます。しかし、バランスシートの拡大がいずれリスクをもたらすという懸念もあるだけに、その上昇も限定的といえます。いずれにしても、今回のQE3は実施されたばかりでその効果を見極める必要がありそうです。
いくつかの金融機関ではQE4の実施を既に予想するレポートが出されています。来年の財政の崖への懸念やQE3の効果に対する疑問の声などからQE4という話が出てきたようですが、時期尚早ではないでしょうか。昨日発表されたケースシラー住宅価格指数や商事者信頼感指数は予想を上回るものでした。実態経済と市場の反応にギャップがあるのは調整の動きが中心の相場が依然中心であると考えられますが、この流れも今日明日までとみています。

<ドル円>
スペイン問題やプロッサー総裁発言などでリスクオフの動きが強まりクロス円が全面安となりました。ドル円もこれらに攣られて一時77円65銭まで下落。その後押し戻されたもののドル円はその後再び上値の重い展開となっています。今日の自民党総裁選挙は各候補者が円高阻止をうたって立候補していることもあり円安要因とも考えられますが、市場の関心は全くなく反応は限定的とみてよいでしょう。FOMCを実施する前のレベル77円40銭付近が底のレベルとみます。

<ユーロ円>
100円15銭はフィボナッチの38.2%戻し(94円13銭~102円85銭)であり、尚且つボリンジャーバンドの中心移動平均線でもあります。昨日は辛うじてこのレベルで折り返したものの、依然として売り圧力が続いています。このレベルを下回れば次のサポートは99円40銭付近とみますが、100円割れはかなり難しそうです。


<オージー円>
昨日は豪ドル国債入札が1年半ぶりの旺盛な需要となりました。スワン財務相が4年間の財政赤に終止符を打つギラード政権の公約をあらためて確認。豪種国債の供給を減らす計画が示されたことが背景にあります。また、RBA金融安定化報告では家計の債務返済余力の高まりや企業の借り入れ意欲が一段と強まったことを指摘。他の主要国に対し相対的に見て同国経済への期待は高いもののオージー円の下落は止まりません。リスクオフの動きから株や資源国通貨の売りが依然としてみられます。短期的には下落リスクが残るものの中期的にみると買いを仕込むレベルに近づいているとみます。対ドルではサポートの1.0350~1.0325、対円では80円ミドルがサポートとみられ一旦は跳ね返されています。79円ミドルは6月中旬からまだ下回っていないことから当面の強いサポートとみられ中期的な買い仕込みのチャンスとも言えます。