先週末にECBが新たな国債購入に向けて協議されるとの報道で市場には楽観的なムードが広がりました。週明けのアジア市場ではその流れを引き継ぎドル円やクロス円が堅調にスタート。しかし、欧州市場に入るとドイツ連銀がECBの国債購入に否定的な姿勢を示し、ECBも国債利回りの目標設定を設ける計画も協議もしていないと否定。これらの報道を受けユーロを中心にクロス円などの売りが強まりました。
ギリシャの救済条件緩和に関しても今週のギリシャとの会談では決定はないとのドイツ副財務相の発言もあり、全般に調整の動きがみられます。ただ、スペインなどの国債下落を抑えるにはECBの国債購入は最終的に実施されるとの観測は根強く残ります。火のないところに煙は立たずのように次回のECB理事会では何らかの動きは出てくると思われます。ギリシャ救済の条件緩和もここで大幅な譲歩を示してしまうと改革が遅れるとの思惑も見え隠れします。最終的にユーロ離脱を回避する動きは継続するとの大局的な見方に変化はないとみます。
今回の売りはあくまで調整的なものとみれば、調整後再びリスクオンの動きが強まるのはそれ程時間はかからないのではないでしょうか。
今日はFOMC議事録が公開され市場は米国追加緩和の可能性を探る展開になりそうです。メンバーの意見の相違が目立つようであれば追加緩和への期待が後退しドル買いに繋がるとみます。
<ドル円>
ECBの新たな国債購入の話が伝わり、週明けのドル円は買いが先行。ひと月ぶりに79円65銭を付けるなど底堅い動きで始まりました。
お盆明けによる実需の売りが先行するとの観測も結果的に見られませんでした。しかし、NY時間には欧州問題の懸念材料が出ると利食い売りなどが強まり79円30銭近くまで下落。お盆休み前の78円前半から上昇が続いたもののその値幅は50銭程度です。依然として市場には円高懸念が残るため、上昇が止まると利食いが出るといったパターンが続きます。そのため、ドルロングのポジションが溜まりにくいことからまだ上昇の余力は残るとみます。
今日のFOMCで追加緩和期待が更に後退すれば80円の大台を試す展開も予想されますが、ここでも利食いの動きは強まりそうです。
<ユーロ円>
ECBの新たな国債購入を巡り一喜一憂の動きとなりました。しかし、ユーロ円への影響は比較的小さく高値圏でのもみ合いが続きます。98円を中心に±30銭程度の狭いレンジが今日の東京市場では継続するとみます。ECBの国債購入問題やギリシャの財政緊縮策に関する欧州要人発言も今のところ市場に対する影響は限定的。今日はFOMC議事録の公開でドルの動きが中心となりそうです。
ユーロドルの三角保ち合いが収束してきました。そろそろどちらかに放れたとしてもその値幅は小さいものになりそうです。
<オージー円>
ECBの新たな国債購入の話で朝方上昇したオージーも欧州市場で下落。欧州首脳の債務危機打開に向けた会談が今週から活発となることからオージー上昇期待も高まります。
しかし、金利差縮小による対ドルでのオージーの上値は限られることからオージー円の上値も限られます。高値を付けた後は利食いを出すといったパターンがみられます。ドル円の上昇とオージードルの下落で相殺されるためどうしても上昇速度は緩やかなものになります。
本格的な上昇はドル円の動きにかかっており、円キャリーが始まるにはドル円の底を確認してからになりそうです。
今日の10時半にRBA議事録が公開されます。現状の金利レベルは適切であるとの内容を再確認すればオージー買いが強まると思われますが、昨日の高値83円25銭付近が上値を超えても83円ミドルを超える勢いはまだ足りないとみます。