今朝方発表されたFOMC声明では追加緩和の実施はなく、これまでの金融政策にこれといった変更は見られませんでした。しかし、委員会メンバーには少し変化も見られました。今年1月の時点では2014年度中にゼロ金利解除を行うとしたメンバーが5人で、それ以降の時期まで継続とみていた2人メンバーが今回は消えました。終了時期が早まるとの見方をするタカ派メンバーが二人増えたことで今後追加緩和の可能性が後退したとみてよいかもしれません。しかし、この結果を抑えるようにバーナンキ議長は追加緩和の可能性は排除しないとの発言をし、ドルへの影響は限定的となりました。
6月末に期限のくるツイストオペはそのまま完了する予定であるとし、全般的には少しタカ派に傾いたという印象がありました。前回発表された米雇用統計が低調に終わったことで、一時は今回の会合で追加緩和が実施されるとの見方も少なくありませんでした。そのころに比べると今回は追加緩和の可能性が大分後退したといえます。議長は今後欧州債務リスクの拡大や、来年の増税や財政緊縮からの景気下振れのリスクに対する備えとしてQE3の可能性を温存しておきたいといったところでしょう。逆に言えば、それまでは滅多なことで追加緩和を行わないとみてよいかもしれません。そうなると、ドル安政策を伴うQE1,QE2といった動きが終了するとみることもできます。ただし、これまでのFRBのゼロ金利政策に変化はなくFRBの2兆ドルのバランスシートを維持することからドル高に転換するというわけでもないでしょう。少なくとも、ドル安の流れに変化が現れるかもしれません。FRBが開かれる6月までには米雇用時計の2回の発表があり、その結果次第で更に米国金融政策の行方が明らかになると考えます。
問題は明日の日銀政策会合です。今回のFOMCで追加緩和がなかったことで、日銀の緩和規模に変化が出る可能性も考えられます。5兆円から10兆円の国債購入規模を市場は期待し既に織り込み始めているだけに、もしこの規模を下回るようであればドル円の一時的な下落は避けられないでしょう。ただ、昨日のバーナンキ議長の記者会見では中央銀行はデフレ脱却のために努力すべきで、これまで小出しに行った日銀の追加緩和への批判的とも取れる発言が聞かれました。日銀は政府の圧力もあり今回失望するような結果は出しにくいとみてよいかもしれません。
いずれにしても、今日のFOMCと明日の会合次第で当面のドル円の方向性が見えてくるのではないでしょうか。