先週は欧米がイースターの連休明けとなり今後の方向性が示されるかと思われましたが、依然掴みきれませんでした。
相場の方向感を占ううえで重要なポイントが先週はいくつかみられました。それは米国の複数の連銀総裁発言やスペイン債務問題の拡大、そして日銀の動向と中国経済です。
米国雇用者数の予想以上の低い伸び率の結果により米経済に対する懸念が拡大する中でバーナンキ議長は「米経済の完全回復には程遠い」と発言。その後もイエレン副議長、ダドリーNY連銀総裁、コチャラコタ・ミネアポリス連銀総裁などが相次ぎ追加緩和の可能性を示唆しました。「今後の景気見通しが悪化した場合」という条件付ではありましたが市場は追加緩和期待からのドル売りが強まる場面もありました。
世界景気にも大きな影響を与える中国1-3月GDPが予想を下回ったことからリスクオフの動きが強まり豪ドルなどの売りが加速。
日銀の政策会合では追加緩和への何らかの動きが期待されたものの、今回は様子見で次回27日の会合に持ち越されたことでドル円は下落。
また、イタリア国債の入札が順調に終了したもののスペイン国債が危険水域の6%台に乗せるなど、再び欧州債務問題拡大への懸念が広がる気配がみられます。
一方で、米国の追加緩和期待も市場では実際には実施しないとの意見もあり、もう暫らく今後の米景気指標の動向を見極めないと何とも言えない段階です。
中国経済もGDPが8.1%に低下したといっても他の国と相対的に見ても依然高い水準です。また、先週末に変動幅を上下0.5%からそれぞれ1%に拡大する事を発表しました。直接今の為替相場に影響するとは思えませんが、景気減速を抑える手段になるとの見方もあります。
日銀も今回は据え置きを決めたものの、25日のFOMCで何らかの動きがあれば日銀も27日を前倒しして追随する可能性が高いとみます。
心配されるのはギリシャからスペインへと市場の懸念が移ったことです。ギリシャに比べスペインの債務規模が大きいことからその深刻さは比較になりません。ECBの国債購入プログラムの再開も今のところ期待できないだけに懸念は強まります。しかし、その懸念も今のところ燻る程度で本格的な危機とはまだ言えません。今週はスペインの1年と1年半もの国債入札を控えその結果次第では本格的な危機に向かう可能性もあり注目です。
一方、米国の株式市場が先週は大きく下落して終わりました。今週は米国金融機関の決算発表が多いことや、小売売上高や中古住宅販売といった重要指標も発表されます。株価の下落が更に進むようであればQE3への期待が更に強まりかねず、こちらも目を離せません。木曜日発表の日本の貿易収支が再び赤字に転落すると予想されます。予想以上に赤字幅が拡大すれば円売りが進みそうです。
先週のドル円は円買い圧力を促すような多くの材料が続いたものの、80円を割り込むことはありませんでした。しかし、底を確認したかどうかを見極めるにはもう少し時間が必要でしょう。
円の予想レンジ:81円80銭~80円10銭(フィボナッチ50%)