先週はギリシャデフォルト危機対応からEU/ECB/IMFのトロイカ電話会議から始まり週末のG20では欧州債務問題が話し合われるなど、世界的な混乱を抑えるための動きが強まりました。しかし、トロイカ協議での声明はなくG20でも問題解決への具体策は示されませんでした。また、米国サイドでは追加緩和策を期待されたFOMCも予想通りのツイストオペ以外の緩和策が打ち出されなかったことや米国景気の下振れ懸念が示された事でNY株価は急落。その影響は世界の株価にも連鎖するなど先週は世界景気減速への不安からリスク回避の動きが拡大しました。
今週は中間決算の半期末ということから実需や資本などの円買いの動きが強まるとの見方があります。先週からのクロス円の売りが強まるなかで更なる円買いの動きが進めばドル円も76円を割り込み史上最安値の75円95銭を試す展開も予想されます。ただ、急激な円高に対しては政府日銀の介入警戒感もあり大幅な円高へのリスクは低いとみます。反対に、介入が入れば一気に円安に振れることになり波乱含みの展開が予想されます。
今週は28日にはバーナンキ議長の講演を控え前回のFOMCでの追加緩和に対するコメントが注目されます。また、29日にはドイツ連邦議会が欧州金融安定基金(EFSF)の機能拡充案を審議し、その可否の採決が行われます。G20の声明ではEFSFの機能強化を挙げているものの、ドイツ国民の負担を伴うことから否決されるリスクが高いとの見方が優勢。万が一、否決された場合はギリシャデフォルトリスクの高まりからリスク回避の動きが強まりクロス円が下落しドル買いが強まる事になりそうです。特に、ドル円の売りが難しいとなればユーロ円は投機筋の絶好のターゲットになりやすく、10年ぶりの100円の大台割れも視野に入りそうです。米国の追加緩和策への失望感からのNY株の下落が更に続くのか。欧州ではギリシャのデフォルトリスクを避ける事が出来るのか。
今週は二つの大きなリスクに対してその動向次第では市場の不安は更に強まることになるかもしれません。
ドル円の予想レンジ:79円50銭~75円50銭