市場の注目はドルからユーロやポンドへ | 岡安のFXブログ レグザム・フォレックス

岡安のFXブログ レグザム・フォレックス

-~ 岡安式相場の読み方 ~



先週末の米雇用統計が予想以上に悪化した事で寧ろ米国の追加緩和への期待が強まり過ぎたのかもしれません。

米国の材料は21日のFOMCまでは出尽くしたとみたのか、市場は欧州の債務問題や景気減速懸念に視点が攣り始めたようです。

昨日はNY市場が休場という事もありますが、欧州の材料ばかりが目立ちました。

ドイツのメルケル首相の地元における州選挙で与党CDUが敗北した事で今後の債務危機阻止への取り組みが難しくなるとの観測が強まりました。

その結果が影響したのか、この日メルケル首相は「ギリシャが経済調整プロ不ラムに基づく条件が達成できなければ今月の同国への融資は実行されない」と述べました。

また、イタリアでは緊縮案に対しゼネストが予定されている事などからイタリア国債や銀行株が急落するなか、ムーディーズのイタリア格付け引き下げの噂が流れるなど不穏なムードが広がります。

ユーロは結局5日続落し1.40ミドル付近まで売り込まれ、ほぼ安値圏で引けた事で今日もユーロの上値は重くのしかかります。

ポンドも景気回復の弱さから今週のBOE政策決定会合では資産買い取りを再開する可能性があるとの思惑が強まりユーロと同様に売りが強まりました。

ドルは結果的に全般に底堅い動きとなりドル円も77円手前まで上昇して引けるなど底堅さがみられました。

先週の雇用統計でのネガティブサプライズでは絶好の下値と試すタイミングでもドル円は76円49銭まで売り込まれただけでした。

野田政権が円高阻止への強い姿勢を示しているという事が背景にあるとも思えませんが、ドル円を売り込む勢いはこのひと月もみ合いが続いたせいか、売り込む気力が失せてきたようにも見えます。

明日から始まる日銀の政策会合では殆どの予想が追加緩和はなしとみているようですが、このような時だからこそもし追加緩和を打ち出せば円安に反応するものです。

また、安住財務相は投機的な動きに対して介入も辞さない姿勢をしめし、今週開かれるG7でも強く円高阻止を訴えるようです。

しかし、G7では円高への関心はかなり低く市場も殆ど期待はしていないのが現状ではないでしょうか。

1カ月前の8月4日は日本が3回目の介入を朝から行いました。

その夜にはECB理事会が開かれトリシェ総裁は介入に対して「多国間の合意と決定が必要だが、今回はそうした決定はない」と避難的な発言を行いました。その日のNYダウはマイナス512ドルと急落し、その後の世界的な株価下落の引き金となりました。

その様な経緯などもあり、今回もG7では円高が世界景気へ影響すると訴えたとしてもその効果は予想されそうです。

市場は、ドルの話題が終わるとユーロやポンドなどに移り、FOMCが近づけばドルの話題に再び戻るといった動きがみられます。

それだけ市場には一方向に傾く程のコンセンサスはまだできておらず、ユーロの下落もドルの下落も、円高もそれ程偏った動きにはなり難い状況は暫く続くとみてよいかもしれません。