先週は米国の債務上限引き上げ問題が難航する中で大手格付け会社のムーディーズやS&Pによる米国格付け引き下げ見直しを発表。また、FRBバーナンキ議長の議会発言では前週の雇用統計の結果などを受け景気回復の遅れが目立つことから追加緩和の可能性を示唆。しかし、次の日の議会証言ではインフレ率の高まりから現時点では追加の緩和策を実施する準備はないことが示されドルは方向感の乏しい動きとなりました。一方で、ギリシャ問題が一歩後退したものの、第2次追加融資の合意が先送りされたことなどからイタリアやスペインなどへも債務問題は飛び火するなど欧州も混とんとした動きが続きます。これら欧米の不透明な動きはリスク回避の動きを促すとともに円やスイスフランなど比較的安全通貨に資金が流れ込む動きが強まりました。ドル円は3月17日以来の安値78円48銭まで下落するなど再び円高が進む展開となりました。
週末には欧州のストレステストの結果が発表され、91行中8行が資本不足と認定されました。事前には20行以上の銀行が資本不足に陥るとの観測が高まったこともあり今回の結果は市場では好意的に捉えられました。しかし、これらの結果にはギリシャ向け第2次支援に向けた民間銀行の負担が反映されていないとの指摘もあり欧州金融不安は依然としてくすぶり続けることになりそうで。
先週の米国経済指標をみても依然としてまだら模様の状態で今後も米国経済の動向を探る展開は継続されそうです。また、8月2日に期限が来る米国債務上限引き上げ問題が大詰めに入ることからそれまでドルの上値も限界がありそうです。ドル円は今のところ介入警戒感が強く下値を攻めにくい状況ですが、市場は依然として円高を狙う動きが強くドル売り材料が出たところで売りを仕掛けてくる可能性がたかいとみられます。ただ、ここにきて円買いの材料としては安全通貨ということ以外それ程見られないことから下値を試したとしても短期間で終わる可能性もあります。
いずれにしても欧州と米国の財務問題が後退するまでリスク回避の動きは続きそうです。