これまでの円高との違いと介入 | 岡安のFXブログ レグザム・フォレックス

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-~ 岡安式相場の読み方 ~



今日は85円台ミドルから前半での静かなもみ合い相場となりました。
昨日からの介入後の動きの特徴は50銭刻みで上昇してきたところでしょう。
84円50銭で約一時間、85円ちょうどで約3時間、85円50銭で約2時間、再び85円に戻してから約2時間のもみ合いを経て85円ミドルでのもみ合いが未だに続いています。

戻しの幅としては今のところ最大50銭で、今のレベルでは85円丁度が固いサポートとなります。
デイトレで攻めるとすればこの50銭を節目にしてみていくと取引がし易いと思います。
今回の介入が成功かどうかはまだ結論は出せませんが、一頃の円高への期待感が一先ず後退したという意味では成功といえます。


これまでのドル買い介入は時間稼ぎとしては何度か成功しましたが、長期的にみると円高は止まりませんでした。
その意味では一度も成功した試しがなく、多くの人が今回もいずれ円高に行くとみています。

ここで、少し違った見方をしてみます。


これまでの円高が進む場面では米国のドル安への思惑と同時に、ドルが余剰となる日本の体質などがその背景には見られました。
確かに今回も米国はドル安によって自国の雇用を増やそうと言う思惑が見え隠れします。
ただ、その最も大きな対象となる通貨は円ではなく人民元であるということです。
また、昨年後半から始まったユーロの下落で、対ドルでは半年近くで20%余りドル高が進行しました。
それに対して米国は一度もドル安を望む発言が聞かれませんでした。
円に対しても今回は米国から円高を煽るような発言があったわけではありません。

円高が始まったのはユーロ安でリスクが高まった事や、米国の景気回復ペースの鈍化が今回の背景にあります。
米国がプレッシャーをかけているというわけではないという事です。
また、貿易黒字にしても、過去の様な巨大なドル余剰があるわけではなく資本収支にしてもリーマンショックによって可也縮小した後だけに、それ程溜まっているとも思えません。

以前では黙っていてもドルがバケツから溢れ出る様に円高の流れがありました。
要するに、量にドルの買い介入をしても時間が経てば自然にドル売りが強まるような状況でした。

今回は欧州危機で弱ったユーロの自国通貨安と、景気回復鈍化の米国の自国通貨安があり、円高で彼らに暫し利益の補填をしているようにも見えます。

市場ではその要因などは関係なして、円高方向に向かいやすいという思惑から投機的なドル円の売りに向かわせているのかもしれません。
そうであれば、投機的な円高に対しては大量の介入は非常に効果的になります。

このような見方からすると、今回の介入はこれまでとは違い初めて成功する例になるかもしれません。



そうであれば、介入でドル売りで溜まったショートを買い取ってしまえばそれで終わりになります。
また、断固とした円高阻止の態度を市場に示す事で、投機的な動きが収まればドル円は売られ過ぎた分だけ自立反転する可能性が高まりそうです。


ただ、ここで安心して介入の手を抜くようであれば、再び投機の動きが強まり更なる円高もあり得ます。
介入は市場のメカニズムを短期的にでもかなり傷つけることで、手負いの狼にしてしまう事もあります。