「遅かったけど、母親には会えた?」
「あぁ。それより美紀は?」
「さっきまで勉強していたけど、もうお休みだよ」
「そうか‥。
健二、明日俺は遅くなるかもしれない」
「どこに行くんだい?」
健一は走り書きされたメモを、見せた。
その時、健二は何か不吉な予感が脳裏を過ぎった。
「一兄、行かない方がいい。いや、行くな」
健二の言葉の真意は痛い程伝わってくるが
あえて、健一はこの言葉を発した。
「‥そういう訳にもいかないんだ。
健二、お前は強いから‥大丈夫だ。」
「何言ってるんだよ!」
健二が、怒鳴った。
いつも冷静沈着な健二だったのでこんな事は初めてだ。
「一兄が、美紀さんの事をどう想おうと俺には関係ない。
だけどな、そんな無責任な事を言う奴は許せない。」
健一は思いっきり、つき飛ばされた。
健一は、その場で動けずにいる。
無責任だというのは
自分自身でも理解しているからだ。
出来るなら美紀の事実を健二にも伝えたいが
それは、憚られた。
これは、自分自身が背負うべき宿命だと
言わんばかりに。
明日で、全てが決まる‥・・。
健二が自分の部屋に入った後、
健一は天を見上げていた。
美紀の肩が少し震えているのに
健一は気付かなかった‥。