「やれやれ、厄介な事に巻き込まれたものだな‥。」
「うるさいわね、ワイス。少し黙ってなさいよ。一番大変なのは私なのよ」
「わかった、わかった、流石ですよ、フィリアさん」
仲間内で呼び合う名前は全て、偽名だ。この組織では、皆本当の名は
知らない。むしろ、知ってはいけないのだ。
この組織の役割は主に、表沙汰には出来ない、裏の部分に手を染める組織だ。
依頼は、以外にも、表では名のある場所からが多い。
唯一の決まり事と言えば、二人で任務を遂行する事だ。
「それで、あなたのフィアンセはどうなりそうなんだい?」
「疑いはかけられないわ。指紋が検出されてないんだもの。
罪は坊やにかぶってもらう。私も取り調べの時は疲れたわ。」
「いや、違うよ。例の賄賂受け渡しの件。これから揺する気かい?」
「三千万が手に入るまではね。でも、アイツはいくらまで、出してくるかは
わからない。向こうにもそれなりの権力を持った人間はついているはずだから」
「怖い人だ‥。」
「アンタはじゃあ何でこんな世界に手を染めたのよ。見るからに私より若いじゃない」
「それは、今はいえない。けれど、いつか必然的に話す事になると思う。」
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「健二、俺だ。」
「一兄!どうした、大丈夫か!?美紀さんは見つかった?」
「あぁ‥見つかったよ。でも‥今は生きてない」
「何を言ってるんだ‥?」
「美紀は‥自殺をしたんだ。俺の目の前で。そして、今俺は、
重要参考人として、警察署にいる。刑事の眼を見てると
早く白状しろって眼だ。当分、家には帰れそうにないな‥。
すまん、また落ち着いたら電話する」
あまりにも唐突な発言に健二は呆然と立ち尽くした。
何がなんだか分からない。
そもそも、一兄と美紀さんの関係は何だったんだ?
なぜ、美紀さんは亡くなっているんだ?
そしてなぜ、一兄が、警察に‥?
健二の脳裏には、最悪の結果しか頭に入ってこなかった。
気付くと、健二は、足をSホテルに向けていた‥。