ー Sホテル ー


健二は、事の真相を確かめようと、足を向けた。


事件発生直後であってか、まだ刑事達が、辺りに散っている。


中には生憎、入る事が出来ないようだ。立入禁止のテープが


入り口周辺に不気味に張られている。


このままでは、何も真相がつかめないと思い


健二は少し躊躇ったが、意を決して、刑事に言った。



「今、現在、重要参考人として警察署にいる笹木健一の弟なのですが‥」



刑事は逆に、向こうからやってきてくれるとは何とも嬉しい限りだと


言わんばかりの表情で健二に食らい付いてきた。



「今からこちらに来てくれるかな?」



健二は、多少強引に近くの喫茶店に連れていかれた。



「健二君と行ったね?君は今お兄さんがどうなっているのかご存知かい?」



「いえ‥、兄から一度、電話で警察署にいて当分帰れないとの話を聞いて


訳がわからないまま、こちらに赴いたという感じです」



「そうか‥。それでは、こちらから多少説明をするべきかな‥。


あ、紹介が遅れて失礼。私は西警察署捜査一課の中川という者だ」



中川は、健一が、関わった事件についての成り行きを一通り話した。



健二は、その話を聞いているうちに頭が廻らなくなってきているようだった。


いまだにこれが現実なのか理解出来ないかのように。



「あの‥兄は、どうして、美紀さんの両親と会う事になっていたのですか?」



「そこ何だがね‥。君は何か聞いていないかね?話によると、健一君は偶然


美紀さんの両親が美紀さんを研究機関へ送る事について聞いたと言っていた


のだが‥どうも、偶然にしては出来すぎていると思うのだがね‥。」



「僕は何も話は聞いていません。兄は一人で解決出来ると思うものには


他人に口を挟ませませんから」








中川は少し、迷ったような表情をしながらも、最後は真剣な眼を向けてきた。







「君は兄さんの事をどう思う?率直に言おう。今のままだと


笹木健一は、殺人容疑で逮捕されるだろう。」
















その瞬間、健二は立ち上がり、真っ直ぐにこちらを睨みつけた。






「兄が殺人容疑!?‥ふざけんなよ‥!


俺が必ず、兄の無実の証拠を見つけ出す!だから、二度と


そんな軽口を叩くんじゃねぇ!!!」





そう言うと健二は、喫茶店から出て行った。





周りの客とウエイトレスがこちらを何事かと言う眼で見ている。





中川は、半笑いを浮かべながら煙草を吹かした。





ふ‥威勢の良い餓鬼だな‥




精精、頑張ってくれよ。