健二は怒りと戸惑いで頭を埋め尽くしていた。


どのようにして兄を救えば良いのか健二には分からない。


気が付くと健二は、兄のいる西警察署に向かっていた。


絶対、俺が無実をはらしてやるからな‥。


昨日と違って日差しが眩しく照りつける。


健二は眼を細めて歩いている時だった。


前から歩いて来た人物に声をかけられた。



「君は‥健一君のご兄弟かな?」



「はい‥。そうですけど。あなたは?」



「私は、美紀の父です。」



一瞬張り詰めた空気が、辺りに漂った。しかし、少しして健二が口を開いた。



「では、今兄が関わっている事件について詳しくご存知ですね!?」



「あぁ、事件発生直前まで、健一君とは時間を共にしていたからな。


むしろ、私の方が張本人と言いたいところだ。健一君はやってない。


何かの偽造工作のよって仕立て上げられた可能性が高い」



「偽造工作!?なぜそのような仕掛けが必要だったのですか?」



「それは‥私にもわからない‥。だが母親が大きな手がかりを持っているのは


確かだ。あの事件の後、まだ一度も会っていないんだが‥」



「どうしてですか?美紀さんが亡くなったんですよ?両親で看取ってあげるのが


親の最期の努めでしょう?」



「‥そうなんだがな‥」




歯切れが悪い。何とかして母親に会わなければ‥。




健二は、父親に言った。








「携帯電話を貸して下さい」







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「ちゃんと、三千万振り込まれてるな」



「えぇ、これで私にとって用件は済んだわ。


あとは、ボスに報告して、私は組織を降りる」



「‥ボスがすんなり応じてくれるとは思えないんですがねぇ‥。


少し考え直したら?」



「うるさいわね!私は、この国はもううんざりなのよ!


早く、海外で、羽を伸ばしたいの!」



「娘さんの事件はどう処理するつもり?


少なからず、‥健一でしたっけ?その子は濡れ衣で監獄行きだよ?」



「それは早く忘れなさい!それより、これから、あの場所へ行くわよ。」



「もう行くのか‥。あの何もかもから遮断された禁断の空間に。


まぁ、あそこを拠点にしているボスに知られたら殺されるけどな」



ワイスとフィリアは、赤いスポーツカーに乗り急いで、その場に向かった。



昼間の高速を追い越し車線で思いっきり飛ばす。


空いているから、スピードメーターは驚くべき数値を叩きだしている。



「あと、どれくらいで着きそうだい?」



「あと、10分で着くわ。」






ワイスは携帯で、しばらく連絡は取れないとの電話を


フィアンセに入れていた。